3年前のグループ解散以降、映画に舞台にテレビに、これまでとは一味違う様々な活動を見せている俳優の稲垣吾郎さん。SNSなどに投稿してきた花の写真とともに、雑誌『GLOW(グロー)』の連載をまとめた初のフォトエッセイ集『Blume』もそのひとつ。ドイツ語で「花」を意味するタイトルの1冊は、「ファンの方へ贈る花束のようなニュアンス」であると同時に、稲垣が今、夢中になっているものも示しているようです。それはどんなものでしょうか?

 

編集部 フォトエッセイのタイトルはドイツ語で「花」という意味ですよね。どんなこだわりが?

稲垣さん ここしばらくブログやインスタで花の写真を多く撮っていたので、写真集として残したいなという思いがありました。ファンの方からも「エッセイなどを出してほしい」という要望を頂いていたし、この本自体が僕からファンの方へ送る「花束」のようなニュアンスがあってもいいかなと。
いろいろ候補がある中でドイツ語の言葉を選んだのは、どこか硬質な響きがいいなあと。「フラワー」とか「ブーケ」みたいな言葉も、僕のイメージにあるかもしれませんが、今回は46歳の今の大人の男っぽさを意識したくて。実は僕、前世占いでドイツ人だと言われたことがあって、なんとなく縁を感じるんですよ。ドイツの文化やアート ——ワインはもちろん、車、音楽、カメラも好きですし——と言いながら、行ったことはないんですねど(笑)。このご時世なんでなかなか叶いませんが、いつか行ってみたい国です。

編集部 撮影するお花はご自宅に飾っているものなんですか?

稲垣さん 道端を散歩しながら撮ることもありますが、SNSに投稿する写真は、家にリビングのアレンジメントのコーナーにあるものを撮ることが多いですね。最近は「いつも花に囲まれて生活したい」と思うほど、花が身近になっていて、玄関には必ずカサブランカを飾っているし、その先には胡蝶蘭を飾っています。一人暮らしだと周りに生命の気配がないので、僕は花をどこかペットみたいに思っています。面白いもので、花も人間や動物と同じように、すごくいろんな表情を見せてくれるんですよね。リビングのアレンジメントはすごくキレイに自然光が入る場所なんですが、光によってこれほど変化する被写体って他にはないと思います。

編集部 そうやって毎日見ていると、美しさに対する見方も変わりそうですね。

稲垣さん すごく変わりますね。ロバート・メイプルソープという、花を接写した写真で知られている写真家がいるんですが、僕は彼の写真が好きなんです。インスタではそのスタイルをちょっと真似てマクロ(接写モード)で撮影することが多いんですが、やっぱり人間の目ではそこまで接近できないですから。最近のカメラは性能がいいし、別の面白い切り取り方はないかな、なんて思っています。
基本的に物事を俯瞰で見る冷静なタイプなんですが、趣味には没頭してしまいます。ゴルフなんかも大好きで、練習していると、気づくと夕方になってたりします。写真はそれに近いものを感じますね。

 
 
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