40歳という節目で、女性は自らの生き方を振り返るものではないでしょうか。

「こんなはずじゃなかった」と後悔しても過去は変えられず、心も身体も若い頃には戻れない。

これは立場の異なる二人の女性が、それぞれの人生を見つめ直す物語。

これまでの話
夫のモラハラに悩む専業主婦の美穂親友の早希久しぶりに外出し、楽しい時間を過ごす。けれどその後夫のモラハラは加速早希との関係にも亀裂が入ったうえスマホを水没させられてしまった。
 


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夫の暴力が子供にも...DVに耐える妻の実態と悲痛な声スライダー1_1
夫の暴力が子供にも...DVに耐える妻の実態と悲痛な声スライダー1_2
夫の暴力が子供にも...DVに耐える妻の実態と悲痛な声スライダー1_3
夫の暴力が子供にも...DVに耐える妻の実態と悲痛な声スライダー1_4


優しい夫に怯える妻


「……美穂、大丈夫か?」

腕の湿布を張り替えていると、背後に夫が立っていた。反射的に身体がこわばる。

「痣、薄くなってきたな。本当に良かった。大したことなくて……」

貴之は悲痛な声でそう言うと、妻の腕にそっと包帯を巻きつけた。

先日スマホを水没させられ夫婦で揉み合いになった翌日、美穂の両腕には、彼の爪痕と手指の形をした青い痣がところどころ浮かび上がった。

以来、夫は優しい。

傷が治るまでは安静にしていて欲しいと、昨晩は仕事の合間に手作りの夕飯まで作ってくれた。シンプルな焼きそばだったけれど、大皿に大盛りに盛られた焼きそばを家族3人で取り分けていたとき、湊人は楽しそうに笑っていた。

「掃除機くらいあとで俺がかけるから、美穂は今日もゆっくりしてろよ。そうだ、予約してた最新のiPhoneも届いたって連絡がきたよ。あとで取ってくるからな」

スマホも戻ってくるし、夫は反省している。なのに、自分に微笑みかけるその目をうまく直視できない。

「……美穂、ごめんな。愛してるよ」

貴之に抱きしめられ、美穂はやっと「うん」とだけ答えた。

まくり上げたニットの袖を、包帯が見えなくなるまで伸ばしながら。

【写真】可愛い子供に裕福な生活……自由のない専業主婦・美穂は幸せ?
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