ボーナスはローン返済と学費に。でも最後には、貯金もできた。

 

45歳で正社員になってからは、夏と冬、業績によっては期末、年3回ボーナスをいただきました。身を粉にして働いたご褒美ですが、わたしが自由に使ったのは、端数だけ。たとえば、多くもらえる冬のボーナスで42万3千537円支給されたら、わたしが使うのは2万3千円だけで、残りには手をつけませんでした。

そのお金から住宅ローン12万円を支払い、半期ごとに子どもたちが通う大学の学費を振り込みました。

 

最初の1、2年分の学費と入学金などは元夫が支払ったのですが、途中で払えない状況になり、息子が退学しようか悩んでいたので、「おかあさんが何とかするから」と、子どもたちの学費も途中から負担することになったのです。わたしは高卒だったので、子どもたちにはせっかく入った大学を退学してほしくなかった。

長男も次男も予備校には行かず、参考書だけ買って、必死で勉強していたのを知っていたので、何としても卒業させたいと、母の助けも借りてわたしも頑張りました。 それでも、学費を振り込むときは、桁を数えて手が震えたのを思い出します。

子どもたちが大学を卒業し、学費の支払いがなくなってからは、住宅ローンの繰り上げ返済に励みました。わたしがマンションを買った当時は、価格が底値だった代わりに、ローンの金利が変動で高く設定されていて、長く借りると損することになるからです。また何歳まで働けるかわからない。80歳すぎまで、ローンを払えるわけもありません。

元夫の父が亡くなり、遺産相続がありました。長男が「おかあさんも苦労したんだから」と元夫に遺産をわたしにも分けるように話をしてくれたのです。慰謝料のかわりだと思い、ありがたくいただきました。その遺産を繰り上げ返済にあてたときから、勢いがつきました。収入の半分とボーナスごとに返済を加算して、56歳で住宅ローンを完済できました。購入から10年で、 返済できたことは、自分でも本当によく頑張ったけれど、運も味方してくれたようで、ありがたいと思います。

同時に、老後資金の貯金も額を増やすようにしました。ボーナスは相変わらず端数しか引き出さずに、まとまった額には手をつけない。月々のお給料は、半分近くを先取り貯金して、残ったお金で生活していました。

60歳の誕生日月から、企業年金がもらえます。それまでは何としても、節約して貯金をしようと決めました。

 

『65歳から心ゆたかに暮らすために大切なこと』
ショコラ・著 マガジンハウス 1430円(税込)

42歳で別居し、その5年後に正式に離婚。それまで2人の子を持つ兼業主婦だった著者が、ささやかながらも自由な暮らしを手に入れるために実践したこととは? 月12万円の年金で、のびやかに暮らすための日々の心がけとは。働き方から家計のやりくり、大好きなおしゃれの楽しみ方まで。パートナーの有無にかかわらず「老後はだれにも頼らず、好きなものだけに囲まれて暮らしたい」と願う、すべての人におすすめしたい一冊です。


写真/林ひろし
この記事は2021年3月8日に配信したものです。
mi-molletで人気があったため再掲載しております。

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