合わない杖はかえって転倒リスクを高める


また、杖や歩行器はその長さや高さも重要な要素です。

杖の場合、長すぎると体重をかけられなくなり、短すぎると前屈みで使わなければならないため、結果として転倒のリスクを高めるからです。適切な長さを選ぶ必要があるのです。

杖の適切な長さは、よく「身長(cm)÷2+3cm」が目安とされます(参考文献4)。肘を15度から30度ほど曲げて使える長さが最適であるといわれています。

あるいは歩行器でも、掴んで動かすタイプであれば肘を軽く曲げて掴みやすい高さのもの、前腕で体を支えるタイプであれば肘を90度に曲げた時の肘の高さに合うものをそれぞれ選ぶ必要があります。

掴んで動かすタイプの歩行器

 

前腕で体を支えるタイプの歩行器

 

私の祖母の話に戻ると、祖母は体のバランスがしっかりしていたので四輪歩行器が使えたのだと思います。膝に負担がかかると痛みが出るため、重いものを運ぶのに、買い物カゴ付きの歩行器にしたのでしょう。今振り返っても、理にかなっていたと思います。

 

周囲に杖や歩行器を使っている方がいたら、適切な杖や歩行器を使えているか、ぜひ一度確認をしてみてください。それが思わぬ転倒を防ぐことにつながるかもしれません。

 

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参考文献
1 Bradley SM, Hernandez CR. Geriatric Assistive Devices. 2011 www.aafp.org/afpAmericanFamilyPhysician405 (accessed May 23, 2021).
2 Cubo E, Moore CG, Leurgans S, Goetz CG. Wheeled and standard walkers in Parkinson’s disease patients with gait freezing. Parkinsonism Relat Disord 2003; 10: 9–14.
3 Faruqui SR, Jaeblon T. Ambulatory assistive devices in orthopaedics: uses and modifications. J Am Acad Orthop Surg 2010; 18: 41–50.
4 2.杖の選び方|杖の選び方・使い方 |福祉用具|福ナビ. http://www.fukunavi.or.jp/fukunavi/kiki/tsue/tsue_02.html (accessed May 23, 2021).

構成/中川明紀
写真/shutterstock


前回記事「「杖や歩行器」に科学的根拠なし!?それでも医者が高齢患者に勧める理由」はこちら>>

 
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