「私、48歳ですが、なにか?」と思うだけ


映画版ではいつも以上に振り切ったアクションシーンもこなしている高岡さん。自分で「やる」と決めたら、どんなこともためらわず思い切りやるーーそういうプロ意識は「当然のこと」と語る一方で、我ながら「よくやるな」と思うこともあるとか。

 

「だいぶ大人になってからですが、『女優の高岡早紀さん』と『プライベートの高岡早紀』とは別ものだと思うようになりました。今はそれが普通になりましたが、あえてそう思うようにしないとやっていられないと思ったのかもしれません。そういう意味では『28歳で結婚したい』という自分を、周囲に理解してほしいなんてこれっぽっちも思っていないリカと似ているところがあるのかもしれません。年齢に関して28歳を自称しようとは思わないですけど、逆に『48歳ですが、何か』って普通に言えます」

気づけばモンスターの役ばかり……枠に収まらずに生きる


'94年の『忠臣蔵外伝 四谷怪談』では幽霊となったお岩、'13年の『モンスター』の整形を繰り返した未帆など、年代ごとに強烈なインパクトを残す当たり役を演じてきた高岡さん。女優として恵まれたことと知りつつも、複雑な思いもないわけではないようです。

「今回もそうですが、気づけばモンスター役ばかりなんです。自分で言うのもなんですが、私の人生ってまあまあなインパクトがあると思うんです。自分がそんな人間だとまったく思っていないですし、強烈な主張もしていないつもりですけれど、なんかそういう役をもらってしまうんです。枠に収まらずに生きる女性はモンスターと言われてしまう? そうかもしれませんね。私なんかもそういう規格外なんでしょうね」

 

高岡早紀 Saki Takaoka
1972年生まれ、神奈川県出身。88年デビュー。その後、女優・歌手と長きにわたり活躍。主な出演作に、『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(94/ 深作欣二監督)、『雪の華』(19/橋本光二郎監督)、『ファーストラヴ』(21/堤幸彦監督)、オトナの土ドラ「リカ~リバース~」 (21/THK)、「桜の塔」(21/EX)、「おかえりモネ」(21/NHK)などがある。

<映画紹介>
『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』
6月18日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー


第二回ホラーサスペンス大賞を受賞した原作「リカ」シリーズがドラマ化を経て、ついに映画化。幼い頃から愛に恵まれなかった雨宮リカは、夫像、結婚 像、家庭像に少女のような憧れと純粋さを持つ、自称28歳の女性。そして運命の男性に出逢った時、彼女のピュアな愛情は炸裂し、手段を選ばない最恐の“純愛モンスター”と化していく。“美しき魔性”高岡早紀が衝撃的なセリフと、誰もが目を奪われてしまう振り切った演技で、「リカ」ワールドに引き込んでいく。共演に、市原隼人、内田理央、佐々木希。恐怖、共感、そして可笑しさ!? 怒涛の展開が脳内を刺激する。

©2021映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』製作委員会

山中でスーツケースに入った死体が発見された。被害者の身元は、3年前、逃走犯の雨宮リカ(高岡早紀)に拉致され行方不明になっていた本間隆雄。警視庁捜査一課の奥山次郎(市原隼人)は、潜伏中のリカをおびき寄せるため、偽名を使いマッチングアプリでリカを探し出すことに成功。次第に“純愛モンスター”リカにのめり込んでいく。「やっと会える、雨宮リカ」―捜査と共にリカにのめり込んでいく奥山を心配する婚約者の青木孝子(内田理央)は、同僚の梅本尚美(佐々木希)と共に彼の部屋へと向かうのだが……。

配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2021映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』製作委員会

 

撮影/田中恒太郎
ヘアメイク/白川いくみ
スタイリスト/寳田マリ
取材・文/渥美志保