「適応障害」は気づかないうちに発症する

 

とらわれを放置していると心身が疲弊し、やがてさまざまな精神疾患に陥る危険があります。そうしたとらわれの心理現象が中心的な症状となる疾患が「適応障害」です。適応障害は、学校や職場、家庭などのある特定の出来事や状況がストレスとなり、そのことにとらわれることで、情緒面や身体面、行動面に症状があらわれ、その人の社会生活が大きく阻害されてしまう疾患です。

 

「上司にしかられてから、またミスをしたらどうしようと不安で仕方がない」
「ママ友とのお付き合いがおっくうで本当は公園に行きたくないけど、子どものために我慢している」

それまでなんとか対応できていた日常的なストレスに、ある日突然耐えられなくなって、心の病を発症してしまうことがあります。それまでのストレスによる苦痛に積み重なったり、よくある出来事や環境の変化がきっかけになったりして、心がストレスにとらわれるようになってしまうのです。それが適応障害です。

適応障害が理解されにくい理由のひとつに、症状が曖昧で「健康と病気の境目がわかりにくい」ことがあります。それゆえ、本人も病気になっていることに気づきにくい、というのも適応障害の特徴のひとつといえます。

【適応障害とうつ病の違い】
●ストレスがあっても、それなりに元気でいられるのが「正常のストレス反応」
●ストレスによって生活に支障が出ていても、ストレスがなくなればすみやかに症状が消え、心が元の状態に戻るのが「適応障害の症状」
●ストレスがなくなっても不調が続いたままなのが「うつ病の症状」