同じものを食べても時刻で血糖や肥満に差が出る

 

朝食と夕食とで、身体に及ぼす影響の違いがあるのかを調べるために、我々は朝食後と夕食後における血液物質の変化のデータを取りました。同一被験者で期間を空け、朝食もしくは夕食を摂る直前を0分とし、そこから30分、60分、120分の時点でそれぞれ血液を採取し、その中に含まれる代謝物を質量分析機器で測定しました。

 

その結果、同一の食事を摂っているにもかかわらず、夕食に比較して朝食ではダイナミックに変動する代謝産物が多いことがわかりました。どういうことかといえば、絶食が長く続いた後に食事をする朝食の場合は、生体内での物質が大きく変動し、絶食時間が短かった後の夕食ではこのような変動は小さいということになります。このことから、朝食を抜くと活発な代謝が起こらず、生体の代謝活動に不利であることがわかります。

同一食品を朝食・昼食・夕食と摂取したあとの血糖値を調べると、一般的には血糖のピーク値や持続値のいずれも、この順番に小さいことが知られています。これは、朝食ではインスリンが効率的に効くので血糖値が速やかに戻るのですが、夕食に多量の食事を摂るとインスリンの効きが悪いため、高血糖が維持されるからです。夕食後に高く維持される糖が脂肪合成に使われて肥満の原因になると考えられています。