なんとかごまかして生きていこう!


長濱:私、SNSとかで「今日も無理せず、出来る範囲で頑張りましょう」とか、そういう発信が多いんです。最初は意図的に言ってたんですね。自分がすごく辛い時に、大人から言われた「みんな辛いんだから」って言葉がすごく悲しくて覚えていて。そんなことは分かってるけど、めちゃめちゃ苦しいんです! って思ったから。そうしたらある時、女の子からコメントがポンと飛んできて。「『無理せず』と言ってくれるのは嬉しいけど、たまには『精一杯頑張ろう』とか『挑戦してみよう』とかって言ってほしいです」って。自分にはそういう発想がなかったから、すごい納得しちゃったんです。そっか、それも大事か、って。人との交流って大事だなって思いました。

本谷:「無理せず頑張ろう」って言葉は、誰かがそれで楽になるって言う事を考えて?

長濱:それもあるし、発信しながら自分に言い聞かせているところもあります。

本谷:自分が楽になる言葉ってありますよね。私、最近芝居を作らなきゃいけなくって、「上手くやらなきゃ」とか思い始めたら、ちょっと憂鬱になって。それで目的を変えたんです、「ヨシ、何とかごまかそう!」って(笑)。そうしたらポンと抜けて、楽になった。何もかも全部ごまかして生きていこう、と改めて思いましたね。

長濱:めちゃくちゃいいですね。自分にそう言うと全然違いますよね。確かに。

 

本谷:「ごまかす」ってホントはよくないことだから、誰かが楽になるために言おうとかは思わないけど。でも私の場合は、そうやって「無理なく」とか「楽に」みたいな既存の言葉じゃなく、自分の言葉になるべく変換していくかな。「長濱さんはどういう活動していきたいですか?」って聞かれたら「なんとかごまかして生きていこうと思います!」って答えるのはどうだろう?(笑)

 


自分のネガティブな感情に向き合うのも、ひとつの責任


長濱:本谷さんも絶望のような苦しくなることありますか? 「もうわかんないよ!」みたいなこと。

本谷:あるよ。私は自分のことをポジティブだとは全然思わないですよ。気質として、ネガティブ人間だなと。できない、無理、やめたいとか、モチベーションがわかないことも、すごくあるし。そして出来る限りそういう気持ちに忠実にいようと思っていて、それで人に迷惑かけることもすごくあって。でもそれが、私の生き方なのかなあと思うんだよね。自分のネガティブな感情に向き合うのも、ひとつの責任のとり方だな、と。自分が「無理だ」と思った時に、どういう言葉を選ぶか、どう向き合うかで、その人の生き方が決まってくると思う。

長濱:すごい当たり前のことを最近知ったんですけれども、人の気持ちって自分ではどうにもならないじゃないですか。

本谷:そうね(笑)。

長濱:それを知ったら、すごい傲慢なんですけれども、人生って嫌だな、生きるのが面倒くさいなって思っちゃって。何を本谷さんに聞きたいのかよくわからなくなってきちゃったけど。そういう時に、真っ正面に向き合った方がいいのか、適当にやり過ごしたらいいのか。生きてきて何か後悔したこととかもありますか?

本谷:たくさんある気がするけど、何ひとつ覚えてないなあ。でも常に「後悔したらどうしよう」って思ってる気がする。そういうことばっかり考えてて、頭おかしいってよく言われるし(笑)。今、ねるちゃんの言った、「生きるのめんどくさ!」って言葉がとても印象的だったな。それが、ねるちゃんを形づくる一部なんだろうね。

長濱:放っておいても、ずっと考えちゃうんです。何に対しても、何をやっても釈然としないし、でも根本ではずっと、何もかもどうでもいいって思っている自分がいる気もして。

本谷:昔から? 五島列島にいた時から?

長濱:10代半ばくらいからかな。一種の防衛だと思うんですけれども。 人にあまり深入りしない、人をあまり信用しないっていうのは、何ですかね。

本谷:大変だったんだよ。

長濱:私が本谷さんに「大変だったんだね」って言わせてしまっているなら、そういう自分も気持ち悪いんです(笑)。

本谷:「だね」じゃなくて、本当に大変だったんだよ。島とか戻って裸で木とか登ったら、そういう面倒くささも消えるかもしれないね。