女の人生いろいろ。うまくいかない時こそ、勇気を持って選ぶべき選択肢があります。日本で公開された韓国映画『ひかり探して』に登場する女性たちの姿から、そんな力強いメッセージが伝わってきます。韓国のトップ女優キム・ヘス演じる女刑事が少女失踪事件を追跡しながら、人生の答えまで見出していくという新感覚の作品です。映画『パラサイト 半地下の家族』に、ドラマ『愛の不時着』に登場した名バイプレーヤー女優たちも登場。韓国映画界注目のパク・チワン監督自らミモレ読者のために見どころを解説してくれました。

映画『ひかり探して』より。©2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved


歳を重ねたからこそ見えてきた女性たちの連帯感に共感できる


「一見すると、何も関わりない人達がお互いの人生に影響を与え合う作品を作りたかったんです」。パク・チワン監督が語り始めました。映画『ひかり探して』は脚本および監督デビュー作。それまで韓国国内で映画業界に携わりながらこの構想を温め続け、公開までこぎつけた月日は足かせ8年。ワーナーブラザーズ・コリアの製作のもと、名女優たちを集結させて実現した作品でした。2021年に開催された韓国のゴールデン・グローブ賞と呼ばれる第57回百想芸術大賞で映画部門の脚本賞に輝いた注目作でもあります。

パク・チワン監督

1981年生まれのパク・チワン監督にとって、遅いデビューとも言えるものですが、「歳を重ねたからこそ見えてきたことをシナリオに反映できたような気がします」と話す言葉の説得力は増しています。というのも、劇中で登場する年齢もさまざま、人生の背景もさまざまな女性たちが互いに連帯感で結ばれていくことに自然と共感できる物語だからです。ふとした時に他人から助けられることってあります。そんな身に覚えがある体験がドラマチックに描かれています。

 

監督の脚本力が光るのはその描き方。離島の絶壁から消え去った少女(ノ・ジョンイ)の痕跡を追跡するミステリー調で物語は始まりますが、事件を担当する女性刑事ヒョンス(キム・ヘス)が真実を見つけていくその過程は人間ドラマそのもの。島の住民との出会いから巧みにヒューマンドラマへと切り替わっていく展開に引き込まれていきます。「辿り着いたこともないような場所に到着したような映画にすることも拘った点でした」と話す監督の狙い通りのラストの感動を味わうことができます。

 
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