スタイリスト、ミモレコンセプトディレクターの大草直子が着こなしのアイデアや日々の思いを綴ります。

長くお仕事をさせて頂いた「Grazia」(休刊)。大人の知的で上質なカジュアルを提案した、初めての雑誌だと思います。担当していたページで、秋冬の間、ほぼ毎月借りていたのが、イタリアのシューズブランド、タニノ クリスチーのロングブーツ。ツイードのロングタイトに合わせたり、デニムをインにしたり、と。これ以上のブーツはなかったので、大げさでなく毎月コーディネートしていました。36歳の時。おそらく15万くらいしたのかな。今でこそ、海外ブランドのブーツ、平気で20万以上しますよね。当時は、群を抜いて高かった! けれど、毎月リース(お借り出し)するたびに、「このブーツを超えるブーツはない」と確信。本当に清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入しました。

 

乗馬ブーツをベースにした、ごくシンプルなデザイン。優美で程よく丸みのあるトゥと、ぬめりと艶が美しい黒のレザー。デニムをインにできるゆとりがありながら、決してだらしなくシルエットが下がらない――履くたびに、「さすがだよなあ」とうなってしまいます。12年経った今も♡

先日は、昨年末のセールで買ったボッテガ・ヴェネタのダウンブルゾンに合わせて。12年選手のブーツなのに、決してビハインドになることなく、きちんとなじんでくれる。ググると、残念ながら1878年創業、そしてなんと、数年前に廃業してしまったそう(泣)。誰か、再開してほしい。あんなに、実直で良いブランドはないと思う。仕事が美しい、きっと多くのアルチザンも仕事を失ったのだろうな。だ、誰か、お金のある人、PLEASE、と真剣に思っています(笑)。
 

大草 直子

クラシックなのに、今の服にも合ってくれる。いや、クラシックだから、さまざまなテイストにフィットするのかも。
立ち姿も優美(笑)。普段は、Amazonで購入したブーツ用のキーパーを入れています。
内側には、製造番号でしょうか。ナンバーが!


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