少しでも違和感があれば我慢せずに相談を!

 

──今でも男性原理で動いている職場が多いのですね。

それもありますし、日本経済全体が伸び悩んでいるので、労働者の数を減らし、休む暇なく働かせて利益を得ようとする職場が増えてきたのも原因の一つです。本来は女性だろうが男性だろうが、家事負担が大きいときや体調が悪いときは気兼ねなく休めるようにするのが職場のあるべき姿ではないでしょうか。ですから今の職場の風潮は変えていく必要がありますし、そのためには一人ひとりが声を上げなければと思っています。

 

──とはいえ、職場で言われた嫌味を「いじめ」と認識できていない人は多いかもしれません。結局、自分のせいにして無理をしてしまう気がします。

もし少しでも違和感を覚えたら遠慮せず相談してほしいと思います。『大人のいじめ』にも書きましたが、職場の中でいじめを告発したり、労働環境の改善を訴えたりしても変わらないことが多いので、労働問題を扱うNPO法人(※)や個人で入れる労働組合といった外部機関に相談するのが良いと思います。

──他人と比較せず、自分のものさしで苦しいと感じたら声を上げることが大事ですね。

そうですね。世の中には多様な人がいるわけですから、個人個人に合わせた働き方が認められる社会になっていけばいいなと思っています。少なくとも、介護しなければいけないのに、もしくは身体が辛いのに働かざるをえないという状況はおかしいことに気づいてほしい。職場の働かせ方に疑問を抱いたら、我慢だけはしないでほしいですね。

※……坂倉さんが理事を務めるNPO法人「POSSE(ポッセ)」でも職場いじめの相談を受け付けています。

『大人のいじめ』
著者:坂倉昇平 講談社 990円(税込)

膨大な数の「いじめ・嫌がらせ」相談を受けてきた著者が、さまざな職場で実際に起こった「いじめ」を紹介しながら、その背景を分析。さらに、いじめの被害者になった場合の対処法も具体的に提示しています。職場や上司・同僚の対応に違和感を覚えている人には、本書がいじめを自覚するきっかけになるかもしれません。



取材・文/さくま健太