「新しい年長者」になるための必須条件

 

――「モダンエルダー」=新しい年長者、が指す人物像は、部下や後輩に対して強いリーダーシップを発揮したり、モチベーションを管理する、いわゆる「マネジメント力が高い人物」とは限らないわけですね。

20以上歳の離れた人たちに相談してもらえる、話を聞いてもらえる関係性を築くことって、肩書きや役職を盾にした人付き合いだけでは難しいですよね。40代以上の年長者が若者たちを前に大上段に構えるのではなくて、新しいことはどんどん吸収しよう、アドバイスを乞われたら惜しみなく知恵を差し出そう、そんな姿勢でいることが「モダンエルダー」への第一歩につながります。そういった人物は今の職場だけじゃなくて、60歳で会社を辞めた後も、何かしら必要とされる場が自ずと与えられるんじゃないかなと思いますね。

 

「聞いてないよ!」と怒る人は「頼られていない」ということ


――年の離れた人たちに「相談してもらえる、話を聞いてもらえる関係性」について、自分はどうだろう? と少しドキッとしてしまいました。

若い社員に対して「その話、聞いてないけど」と不機嫌になる上司っていますよね? 必要な報告をしていないといった話なら別ですが、ただ単に“相談されなかったこと”に対して拗ねて怒るというか。そもそも相談って「この人に話したら何かいいことがありそう」と思えるからするものであって、そう思えない人には相談しに行かないわけです。だから、相談されてない! 聞いてない! と怒る上司は、「自分は頼りにされない人間です!」と自ら言っているようなもので、すごく恥ずかしいことだと認識してほしいところですよね。部下に頼られていないという事実に、まずはショックを受けたほうがいい。

 

――若者たちに対して、「私たちがどれだけ与えられるかは、どれだけ真剣に聞いているかにかかっている」という印象的な言葉が本書にもありますね。うわぁ、自分のことかも……と胸に手を当てた人も、今から「モダンエルダー」になれるものですか?

じゃあ、頼られるようになるはどうしたらいいか? を考え始めるだけでも「モダンエルダー」への第一歩だと思います。今すぐにチップ氏のような“賢者レベル”のモダンエルダーになるのは誰だって難しいので、新入社員にも丁寧な敬語を使う、人としては対等な関係性で向き合うよう心掛ける。そういうところからでいいと思うんです。