今、お話したことは、コンサルティング業界の長時間労働を比較的ポジディティブに解釈したものですが、実際はそうではないという見方もできます。その理由は、コンサルティングという仕事が質的に変化しているからです。

かつてのコンサルタントというのは、一般的なイメージの通り、知的な作業が求められ、企業の問題解決を支援する役割が期待されていました。ある企業が事業構造を改革する場合、社内はもちろんのこと、社外に対しても明確な説明責任が求められます。社員だけでは、こうした業務をこなすことができないので、外部の知恵袋としてコンサルタントを雇っていたわけです。

ところがコンサルという仕事がメジャーになってくると、もう少し規模の小さい問題解決にもコンサルタントを雇うようになってきました。最近ではコンサル会社の競争も激しくなっており、中には、単に情報システム構築をするだけの業務になっているケースや、外部へのプレゼン資料や投資家向け資料といった、企業が求める資料の作成代行に近い形態のコンサルもあります(今回の書類送検もシステム関係の仕事だったと言われています)。こうした業態の場合、顧客企業が無茶な要求を行うこともあり、慢性的な長時間労働に陥ってしまいます。

写真:Shutterstock

アクセンチュアも、かつては規模も小さく、純粋なコンサルティング案件を多く取り扱っていました。しかし、同社は近年、業容を急拡大しており、内部の管理体制が追い付いていないという指摘もあります。

 

かつてのコンサルティング業界は、それなりの覚悟のある人だけが行く世界であり、そうであるが故に、ある程度の無茶も許容されていました。しかし、コンサルティングという仕事の中身も大きく変わり、今や学生の就職ランキングで上位に入る人気業種です。時代は変わったわけですから、あらゆるタイプの人材がやってくることを前提に、職場環境を再構築する必要があるでしょう。


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