失語症とは?! 山田先生が解説


山田 碓氷さん、半分正解です。50点ですね!

 

碓氷 悔しいです(笑)。

山田 話せなくなるというのは正しいんですけれども、言葉を失うといっても、言葉の失い方には色々な種類があるんですよ。主なものとしては、まず言葉のインプットを失うことですね。ただインプットを失ってもアウトプットはできれば話すことはできるということです。この状態も失語症といいます。
あるいはインプットはできるけどアウトプットができない、この場合は話せなくなりますよね。これも失語症です。

インプット・アウトプットで分けたのには、理由があるのです。言葉のインプット、つまり聞いて理解することと、アウトプット、理解した言葉に応答して発言すること、これ実は脳の別の場所でやっているからなのです。
脳の2ヵ所の司令塔がそれぞれコミュニケーションを取りながら聞いたものを咀嚼して、咀嚼したものから考え出して言葉を発するという仕組みがあり、2つの司令塔がうまく噛み合って、言葉や会話というのは紡ぎ出されているのですね。
インプットの方はウェルニッケ野、アウトプットの方はブローカ野と呼ばれている場所で行われていまして、このウェルニッケ野とブローカ野は、脳の別々の場所にあります。
失語症の最も多い原因は脳梗塞なのですが、ウェルニッケ野を含んで脳梗塞が起こった場合はインプットができなくなるので、言葉を理解できなくなる。ただ、喋ることが出来るので、理解できないのに喋る、すなわち、意味が繋がらないことを喋りだす、と言う症状になります。
一方で、今度はブローカ野、アウトプットの司令塔が脳梗塞でダメージを受けてしまった場合、「理解」はできるんですね。
言葉を聞いて相手が何を言ってるのかは理解しているのですが、自分の言いたいことが発言できないんです。
つまり、脳のどこに障害を受けるかによって症状の出方が変わってくるんですね。
この失語症の原因は脳梗塞が最も多いと考えられていますが、その他にも脳にダメージを受けるような病気で起こりえます。
例えば脳出血や、認知症を起こすようなアルツハイマー病でも、進行と共にこの失語症が症状として出てくることもあるのです。

碓氷 そうなんですね。今回はニュースで、ブルース・ウィリスさんが失語症と診断を受けたという話を聞いただけですので、原因はよくわからないですね。

山田 そうですね。インプットが駄目なのか、アウトプットが駄目なのか、あるいは両方とも上手くいかないのかもわからないですし、失語症を起こした原因が何かということもニュースだけでは伝わってこないですよね。いずれにせよ、言葉のどこかの部分で俳優業を続けるのが厳しいという判断なのでしょうね。