課題は多いが、決して失敗事例ばかりじゃない

 

そんな成年後見制度ですが、時に強力な威力を発揮するのもまた事実です。

 

特に、独り身の方や家族がいても何らかの事情があって頼れない方にとっては、大変有効な制度であることは是非とも知ってほしい点です。

このような方々は、認知症が進んでしまった場合、代わりに財産管理ができる人がいない状態に陥ってしまいます。本人が動かせない、他に動かせる人もいない、完全に財産が宙に浮いてしまうのです。財産が凍結されるだけにとどまらず、生活環境が乱れ健康が阻害されてしまう事態にまで発展してしまうことすらあります。

中には、本人の関係者、つまり遠い親戚であったりケアマネージャーらが一時的に対応することもあります。しかし、それも早晩行き詰まります。

親族が親身になってお世話していても、自身やその家族の家庭環境で課題を抱えてしまえば、本人サポートどころではなくなります。ケアマネージャーら福祉担当者らも、財産管理は本来の業務ではないので、スポット的対応では限界となります。 

そのような時、成年後見制度の利用が選択肢となります。この制度を利用すれば、家庭裁判所が成年後見人を選任してくれます。それも、“必ず”です。たとえ本人に頼れる人がいなくても、今後の生活のために成年後見人という代理人を立ててくれます。選任は家庭裁判所という司法機関が行うので、法に則った手続きなのも心強いです。