『「育ちのいい人」だけが知っていること』という本が60万部を超える大ベストセラーになっています。実はこの本、今話題のドラマ『やんごとなき一族』にも登場します。主人公の佐都(土屋太鳳)が超上流階級の深山家に嫁いだ際、上流階級の振る舞いについて学ぶために大量の教材が用意されるのですが、その中にも入っていました。

本書の紹介文には「真似するだけで、今からでも育ちはよくなる!」という文言があり、育ちの良さは後天的に身につけられる前提のもと、書かれているようです。

 

例えば、イチゴのショートケーキを食べるときいつイチゴを食べるか? というものや、仕事の昼休みに会社用のサンダルのまま出かけていいのか? といった、考えたこともないような細かなシチュエーションまですくい上げ、「育ちがいい」と思われるためのティップスを紹介しています。

 


大学時代に直面した「文化体験の格差」

 

確かにマナーを知っていることは社会に出たときに大切なことです。筆者は貧困家庭で育ったこともあり、世間一般のマナーをあまり知らず、外食などの場面でおどおどしてしまうこともありました。以前取材した児童養護施設では、レストランに子どもたちを連れて行ってテーブルマナーを教えるという取り組みがあり、とても素敵だと感じたことも。

そんな筆者は幼い頃から、周囲との「育ち」の違いを感じることが幾度となくあったわけですが、大学生になるとより頻繁に違いを感じる場面が多くなりました。大学の友人はみな、いわゆる中流以上の家庭の子ばかり。「親の所得」がその家庭の「文化資本」に直結するため、友人たちと筆者が持つバックグラウンドの違いによって、様々な文化体験の格差が顕著に現れたのです。