SNSで「いいね!」を欲しがる人ほど、無駄づかいしやすい


気がつけば、老若男女、多くの人がSNSを当たり前に使うようになりました。(株)ICT総研の「2020年度SNS利用動向に関する調査」によると、SNSを利用する理由について、「知人の近況を知りたい」(43%)が最も多く、次いで「人とつながっていたい」(33%)、「自分の近況を知ってもらいたい」(24%)、「写真などの投稿を見てもらいたい」(23%)、「自分の行動記録を残しておきたい」(21%)、「仕事やビジネスで連絡を取りたい」(20%)、「『いいね』などのリアクションが欲しい」(17%)等となっています。

このように、SNSは、自分の世界や見識を広げてくれる手軽で便利なツールであり、目的に応じて、上手に活用している人もたくさんいます。しかし、SNSによる人間関係のトラブルやスマホ依存などが問題視されているのも事実です。

そして、ついのめり込んでしまうのは、SNS特有の「いいね!」という評価が、人から認められたい、褒められたいという人間の「承認欲求」を満たしてくれるから。

 

ベストセラーになった『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著、新潮新書)によると、脳科学的には、SNSで「いいね!」をもらうと、脳の報酬系を担うドーパミンという神経伝達物質が分泌されて、強い快楽を得るのだそうです。報酬系は、美味しいものを食べたり、善い行いをして感謝されたりして満足を得られると、刺激されます。正常な脳の働きの場合、人は努力や工夫によって刺激させようとします。でも、SNSなら世界中の人から気軽に「いいね!」をもらえて、容易に満足を得られる。楽な方法を覚えてしまうわけです。

セールスフォース・ジャパンが実施した消費者のSNSにおける承認欲求についてのアンケート調査によると、承認欲求は、その「強さ(どのくらいの「いいね!」などの承認がほしいか)」と「ベクトル(『承認の数』を重視するか、『承認の相手』を重視するか)」によって4つに分類でき、それぞれ、利用するSNSの種類や利用方法に特徴があると言います。

同調査では、承認欲求がSNSの利用にどのような影響を与えるかについても分析しており、年齢が若いほど「承認の数」、年齢を重ねるほど「承認の相手」をそれぞれ重視します。また、今やFacebookを最もアクティブに利用しているのは60代で、この年代は「承認の相手」を最も重視するため、人間関係がほぼそのまま反映されるFacebookを好むのだとか。今や、SNSも使い分けの時代だということでしょうか。

 

「いいね!」の快楽にとりつかれると、見栄消費をしやすくなる

 

こだわるのが、数なのか相手なのか。いずれにせよ、SNSで「いいね!」を欲しがる人には、無駄遣いしやすい傾向があるのではと私は睨んでいます。承認欲求が強い人は、「いいね!」をもらうのだけを目的にモノ消費・コト消費をし、それを投稿しがちです。

これらは、はるか昔からある行動、つまり「他人に見せたくて身分不相応なブランド品を買う」「煽てられると気前よく他人にご馳走する」などと同じ、いわゆる見栄消費の一環です。まさに、貯められない人の典型的な行動です。