前述の調査では、年収別にみると、高所得者のほうが「承認の数」を重視する傾向があるといいます。イギリスの歴史・政治学者のシリル・ノースコート・パーキンソンは「支出の額は収入の額に達するまで膨張する」という法則を提唱しました。いわゆる「パーキンソンの法則」の1つです。いくら収入が増えても、承認の数を増やすために、それと同じくらい支出も膨らんでしまうのでは、承認欲求を満たされても、家計は苦しくなる一方です。

ちなみに、幸福度の研究においても、リアルな人間関係が幸福度を高める一方、SNSは、接する時間が増えるほど、幸福度が低下することがわかっています。SNSはツールだと割り切って、一定の距離感を保つことがポイントだと言えます。


料理好きなパートナーを持つと、生涯貯蓄額が1260万円アップ!?

 

かつて「料理上手」は男性が結婚相手に求める条件のひとつでしたが、最近では、同じぐらい夫や恋人が料理上手だったらと願う女性も多いことでしょう。

料理上手なパートナーの存在は、家計にも大きく影響します。
それを具体的に説明しましょう。まず、一般的な食費がいくらか確認しておきます。総務省「令和2年度家計調査年報」の世帯人員別の食費は、2人以上世帯(2.95人)が約7.6万円、単身世帯が約3.8万円です。

この前提のもとに、お惣菜や外食が多いAさんと手作り料理中心で外食が少ないBさんを比較して、30歳から65歳まででトータルどれくらい差が出るか試算してみました。

 

前掲の調査によると、2人以上世帯の外食費の平均月額は、2020年がコロナ禍のため1万円以下。その前年までの数年は1.2万円前後でした。これをベースに惣菜やテイクアウトなどを含む外食費をAさんは月3万円、Bさんは月1万円とすると、両者の差額は35年間で840万円にのぼります。

Aさん:3万円 × 12ヶ月 × 35年間=1260万円…①
Bさん:1万円 × 12ヶ月 × 35年間=420万円…②

さらに、昼食代について、Aさんが市販の弁当(平均800円)を購入。Bさんが手作り弁当(実費300円)を持参し続けたとすると、両者の差額は35年間で420万円です。

Aさん:800円 × 20日(月の勤務日数)× 12ヶ月 × 35年間=672万円…③
Bさん:300円 × 20日 × 12ヶ月 × 35年間=252万円…④

AさんとBさんの、外食や昼食代の合計の差額を計算すると、35年間でなんと1260万円(=①+③−②+④)になりました。毎日のことだけに、「ちりも積もれば山となる」の典型例と言えます。