2022年8月から小学生の息子と一緒にカナダへしばらく移住をすることにしたファッションエディターが発信。母子留学を考え始めたきっかけから出発当日までの準備、渡航後は現地の学校や暮らしをリポートする連載です。5回目は、40代でいろんなものを手放してまで海外移住をしたいと思えた理由について紹介します。

 

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これからもずっと日本で今の仕事をしていくと思っていた


40代でカナダに移住することに決めたと周りに報告したら、必ずといっていいほど言われるのが「よく決断したね!」ということです。

私はこれまで約16年間、フリーランスのエディターとして働いてきました。ファッション雑誌や書籍の編集を担当したり、ウェブマガジンで記事を書いたり、ファッションブランドのウェブコンテンツの制作が私の仕事です。
おかげさまで仕事には恵まれ、フリーランスながら忙しくさせてもらっていました。自分の好きなことを仕事にしたいとエディターになったので、仕事内容にはまったく不満がなかったし、周りの人にも恵まれ、まったくストレスのない環境にも感謝していました。だから、お仕事をいただける限りはずっと今の仕事を、今の形で続けていたい、手放したくない、と思っていたんです。

コロナ禍で仕事がゼロになったことで“安定”がないことを身をもって体験

お金はかかる、収入は減る。それでも40代で「海外移住」を決意。背中を押したものとは?【親子留学】_img0
上は、緊急事態宣言前の2020年3月のスケジュール。下は緊急事態宣言で大半の仕事がキャンセルになった2020年5月のスケジュール。ほとんどの仕事がキャンセルになりました。

私にとって大きな転機となったのは、コロナ禍です。
私は会社員ではないので、自分が働いた分だけが収入。2020年4月の緊急事態宣言でほとんどの仕事がキャンセル=収入がない、という経験をしたのです。

将来の保証がないフリーランスなので「来年は仕事があるのだろうか」という気持ちはこれまでもあり、常に“変化すること”や、今にしがみつこうとしないこと、は頭に置いていたつもり。

ですが突然、想定外の流れで仕事を失ったことがきっかけとなり、残りの人生、私はこのままでいいのか……とより深く考えるようになりました。
 

同時に、子供と過ごす時間が増えて、今を大切にしたいと思うように

お金はかかる、収入は減る。それでも40代で「海外移住」を決意。背中を押したものとは?【親子留学】_img1
小6の息子とお揃いで買ったスニーカー。サイズはもう息子のほうが大きい! こんなことをしてくれるのも、あともう少しだなと思うと、もっと息子と濃い時間を過ごしたいと思うようになりました。

コロナ禍の緊急事態宣言が招いたのは、私にとっては悪いことだけではありませんでした。私は仕事がキャンセルになり、息子は小学校が休校になり、一緒に過ごす時間が増えたんです。

私はフリーランスなので、産休、育休の制度がないため、長く休むと仕事がなくなるかもという不安から、子供が0歳のときに仕事に復帰。そこから、ノンストップで働きました。だから、息子とふたりでゆっくり過ごすのは、かなり久しぶりのことでした。

私が仕事に夢中になっているうちに、息子は(当時)小学校4年生に。まだまだ甘えてくれる年齢でしたが、これが続くのはあと数年しかないことに気づきました。そう思うと、今は子供を優先する時期なのかもという気持ちが芽生えたんです。

私は自分のやりがいのために、好きな仕事を続けたい。
フリーランスの身にとって、仕事をいただけることはとてもありがたいことだし、せっかく私にとお願いしてくださるなら、できる限りお受けしたい。
でも、息子との時間も大切にしたい。
そんな気持ちのまま、モヤモヤしていました。


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