「今日だけは特別ね」は毒薬である

 

夫婦で特によく話しあっていただきたいのが「今日だけは特別ね」の例外ルールです。夫婦どちらでも、いつでも同じ対応をするようにしたほうがいいでしょう。

放課後の子どもあるあるですが、学童保育のお迎え時間に子どもが「やったぁ! 今日は、お父さんのお迎えだ!!」と、とても喜んでいるので理由を尋ねると、「お父さんは、ゲームを寝る時間まで(ルールでは1日1時間だけど)やっても許してくれるから」と答えてくれました。

おうちルールの運用は、それぞれ事情があるかもしれません。しかし、5〜6歳の子どもの思考力はまだ自分中心で、何でも自分の都合のいいように解釈をする傾向もあります。ルールは守らなくてもいいもの、と誤解がないようにしたいですね。

 

例外を認める時は、例えば、熱があるなどの心身の不調の時だけです。間違っても、親にお願いをしたらルールは守らなくてもいい、という経験をさせないように十分に配慮してください。

特別な事情で例外を認めても、子どもにとっては「お願いをしたら、ルールは守らなくてもいい」という経験だけが残ります。次に親にお願いをしてもルールを守るように言われたら「ずるい! この前は、許してくれたのに」に始まり、以降継続的にルール全体を守ることや、親への信頼も揺らぎかねませんので、気をつけてください。

著者プロフィール
遠藤奈央子(えんどう・なおこ)さん

民間学童「こどもクリエ塾」代表。株式会社ビジョンゲート代表取締役。非営利型一般社団法人学童ナビ研究所理事長。リクルートにて人材採用と教育を提案する法人営業を担当後、2007年よりIBMビジネスコンサルティングサービス(現IBM)で戦略コンサルタントに従事したのち、2011年4月民間学童保育「こどもクリエ塾(ビル・ゲイツ氏財団エドビジョン型プロジェクト・ベース学習を導入)」設立。現在、表参道・白金台・茗荷谷・四谷・日本橋で5校を運営し、開校12年にしてすべてキャンセル待ちが続いている。さらにタイ・バンコクに日本人と多国籍を対象としたKidsClieを開校。日々現場で子どもと共に学びあう、教育者としての顔を持つ事業家。直接指導した子どもは延べ1800人を超える。社会福祉士の資格も有する。著書に『「民間学童」のつくり方・運営の仕方』(日本実業出版社)がある。

『「自分でできる子」に育つ 放課後時間の過ごし方 ほめる・叱る・見守る 親も育つ』
著者:遠藤奈央子 講談社 1540円(税込)

欧米では学校教育と同様に重視される、子どもの放課後時間を使った「余暇教育」。日本でも、子どもの放課後の膨大な時間を利用して「学びの楽しさ」を体験できる場を作ろうと、民間学童スクールを立ち上げたのが遠藤奈央子さんです。本書はビル・ゲイツ氏も推奨する「エドビジョン型プロジェクト・ベース学習」に基づきながら、「自分で考えて行動する子」に育つためのヒント、小学生から始める「自主学習のクセ」がつく環境作りなど、具体的な放課後教育のヒントが盛りだくさん。子どものリーダーシップと創造力を家庭で育むにはどうしたらいいか、豊富なケーススタディと共に紹介します。




構成/金澤英恵