たかが毛なのに、なぜこんなに気になるのでしょう。ここまで興味津々で読んでしまったあなたは、おそらく現在多少なりとも毛に迷いが生じているのでしょうから、股にそっと手を当てて考えてみてください。いったい自分は、誰の眼差しに応えようとしているのか。

実は最近、白色毛になる前にさらにもう一段階処理を進めることにして、温存しておいた部分へのレーザー照射を開始しました。照射の際には剃毛するため、施術直後は見た目上は無毛状態となります。そこからまた少し生えて、剃って、照射して……を繰り返して、最終的には生えて来なくなるわけですね。

先日、剃毛直後のタイミングで公共温浴施設に行く機会がありました。真っ先に思い浮かんだのは「いかん、お婆さんたちを驚かせてはいけない!」ということ。都心部のおしゃれスパなら脱毛済みの身体を見慣れている人も多いでしょうが、地方の温泉に浸かりに来ているご老人はそうではないはず。ママと一緒に入っているちびっ子もいます。

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浴場内に持ち込めるのは、薄い浴用タオル一枚です。普段は服に隠れている部位、つまりSNSに写真をあげる時には星マークで隠さねばならない3点をタオル内に収めようとすると、高身長の私は3点全てが上下の端に近い場所に位置することになります。目算を間違えれば、いずれかがタオル圏外に出てしまいます。中でも湯船に出入りする時は、こちらの臍から下と先客の目の高さがちょうど同じになる最も危険な瞬間。細心の注意を払わねばなりません。

 

緊迫の瞬間をなんとかクリアして湯船の隅でひっそりと身を沈めながら、いやちょっと待て、そもそも自分は局部を目にする人たちのことを考えて毛をなくそうとしているのに、なぜ今、毛のない自分を人目から隠そうとしているのか、だったら生やしておけばいいではないか、ああ一体、私の毛は誰のもの? と自問せずにはいられませんでした。ふと思い出したのは、以前銭湯で見かけたかなりご高齢の女性の姿です。Vゾーンには毛がなく、胸部の色素も非常に薄かったのです。なるほど年をとると、最終的には少女の体に戻るのだなと感動したのを覚えています。だったらレーザー脱毛せずとも、時を待てばいいのではないかという気もしますね。