体脂肪率が役に立つのはどんな時?【医師の解説】


体型や体重と脂肪の量がうまく比例しないと予想されるケースでは、体脂肪率の値が役に立つこともあります。

たとえば、ボディビルダーのような体型の、日頃から常に筋トレをしているような方を思い浮かべてみてください。そんな方の場合、きっと筋肉量が多いので体重も重く、BMIも高くなりますよね。また、ウエストの値もきっと大きいでしょう。ですが、その方の体脂肪率は、同じ体重の人の平均よりもずっと低いと予想されます。

そういった方の場合、平均の体脂肪率がある方と同じ健康リスクかと言えば、おそらく違いますよね。また、「サルコペニア」といって、高齢になるに従い筋肉量が減少してしまう状態もあります。そんな時も、身長、体重、BMIやウエストと、脂肪の量がうまく合致しない可能性が高いといえます。こうした方々には、体脂肪率の値が役立つ可能性があります。

 

ただ、それ以外のケースで、健康という側面から体脂肪率を測る意味は、実はそれほど高くないのです。体脂肪率の計測は、ジムに通うモチベーション管理など、あくまで娯楽的な側面が大きいのではないでしょうか。

数字にあまり一喜一憂せず、健康にとって本当に大切なことは何かという視点で健康情報を捉えるのが重要なのだと思います。

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写真/shutterstock
構成/新里百合子
 

 


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