誰だって「言ってもしゃーない」と思ったら言わないじゃないですか


今井:蔵之介さんは私が何か言ったら、それに対してポンと何かを思いついてくれて、それを投げ返してくださるという印象なんです。これ、皆さんに当てはまると思うんですが、言ってもしゃーないと思ったら言わないじゃないですか。佐々木さんは思ったことをきちんと言葉にしてくださる!

佐々木:それはありますね。言うてみようかなって。それは僕自身いつまでも“ダメ出しを貰える役者”でいなきゃアカンと思うからです。「自分のやりたいことをやる」ためには、言うだけじゃなくて周りの意見をよく聞き、自分もきちんと間口を広げとかなアカンなって。

 

佐々木さんは京都府京都市、今井さんは大阪府堺市の出身。話が白熱してくると、ところどころ関西弁が飛び交い始めます。

 

佐々木:自分の考えられる範囲なんて大したことないんです。だから、周りの人からの意見は貴重。それを聞けるような状況にしとかないとダメだと思います。

今井:脚本家もそうです。「仕上がっているので、直しは必要ありません」というタイプの脚本家もいますし、役者さんに「このセリフは言えない」と言われたら、理由を聞かずに削っていっちゃう方もいます。でもそうすると台本がドンドンやせ細ってしまう。“話すことで膨らませていける”というのは、仕事の在り方にも通じるところがあると思います。

佐々木:というのは?

今井:蔵之介さんも広告会社出身ですよね。広告会社にいた時、ひとりひとりの能力も高いんですけれど、ブレストすることでアイデアがどんどん広がってキャンペーンも大きくなって……というのを目の当たりにしてきました。脚本作りも通じるところがあって、この仕事がすごく向いてると思っています。それは自分ひとりで完結して原稿出して終わり!ではなく、打合せのたびに脚本が化けていくのが楽しいからなんです。作家として完結してないほうが面白い(笑)。