女性への複雑な感情なのではないかな


――おもんやおせき、そして一作目の『仕掛人・藤枝梅安』では天海祐希さん演じるおみのを筆頭に、女性たちの存在感が印象的でした。梅安にとっての女性とは、どのような存在だったのでしょう?

豊川:藤枝梅安というのは、母親に捨てられたというのが彼の中にトラウマのように残っているんですよね。だから、女性に対して複雑な感情を持っているのではないかな。でも、池波先生の原作には、女性が苛烈な扱いを受ける描写もあるのですが、この作品では、そういったことはあまり出てこない。それは原作との違いかもしれません。

 

――物語の舞台である、江戸時代後期は、当然今に比べて女性の立場が弱かった時代。にもかかわらず、女性たちの芯の強さが際立っていました。


豊川:それはもう、まったく、映画ではなくとも日々感じています。人のスタートは、女性の胎内から始まるわけで、そういう意味では、一番のベースだと思いますしね。“女性が好き”というとちょっと違うニュアンスで取られてしまいそうですが、僕は好きです。僕自身、男っぽいタイプというよりは、たとえば大勢の女性の中に一人でいても、実は大丈夫なタイプだったりします。

 


ひとつひとつ言葉を選びながら時に微笑みを浮かべ、丁寧に答えて下さった豊川さん。後編では、さらに豊川さんの魅力に迫ります。

インタビュー後編は2月2日公開予定です。
 

<映画紹介>
『仕掛人・藤枝梅安』
2月3日公開
『仕掛人・藤枝梅安2』
4月7日公開

 

原作:池波正太郎『仕掛人・藤枝梅安』(講談社文庫刊)
豊川悦司 片岡愛之助 菅野美穂 小野了 高畑淳子 小林薫
第一作ゲスト:早乙女太一 柳葉敏郎 天海祐希
第二作ゲスト:一ノ瀬颯 椎名桔平 佐藤浩市
監督:河毛俊作 脚本:大森寿美男 音楽:川井憲次
©️「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社


撮影/岡田健
取材・文/楢崎裕美
構成/坂口彩