(3)(真の)自立をしている人が増えたから


ここでいう「(真の)自立」とは何か、というと、自分に欠けているものを相手によって埋めようとしなくても、十分、自分1人でも満たされている状態のことです。
生物学的には、社会の変化などさまざまな要因があって人間の中性化が進行している、と言われています。それは、悪いことというわけでもなく、男女限らず、「精神的に、自分の中にある男性性、女性性のバランスを保ち、完全性に向かっている」という説もあります。

今までは、一般的に女性(男性)は男性(女性)と深く関わることで、相手の持つ男性性(女性性)を補うようにしてきたところがありました。
相手によって自分の欠けているもの(男性性・女性性)を補う必要があるので、男性はより男らしく、女性はより女性らしくすることで、相手(異性)を引き寄せる必要があったところもあるでしょう。

でも、人間の進化に伴い、自分の中にある男性性、女性性のバランスを保つようになっていくので(※自分自身で自己を満たすことができるようになるので)、誰かによって自分の男性性(女性性)を補足してもらおうと思わなくなってくるのです。そうすると、必要以上に「パートナーを持つ」ということを求めなくなってくるでしょう。
もちろん、だからといって、身体に中性的な変化が表れるわけではありません。精神的な部分で「パートナーがいなくても不足感をおぼえない状態になる」ということです。

 

愛を深く理解すると、恋愛する人が減る!?


愛を深く理解していくにつれて、恋愛の形も変わってきます。今まで私たちは、「相手を必要とする思い(依存心、欲望)」を、愛だと勘違いしてきたところがあります。相手を求める気持ちがあるから、これは「愛なんだ」と。でも、それらは自分のための感情であり、自己愛に近い感情です。
さらに、「相手を好きだからパートナーにしたい」というだけでなく、なかには、今、好きな人がいなくても、(自分の依存心、欲望、不足感を満たすために)「自分のパートナーとなってくれる人を探す」ことも多かったことでしょう。常に恋をしていたい人(=恋愛を通して自分の存在を確認したい人)もいますしね。

でも、(真の)自立をし、さらに本当の愛を理解するようになると、“本当の意味で、心惹かれる相手”に出会ったときに限り、深く関わりたいと思うようになり、それ以外の相手は、必要としなくなってきます。
(真の)自立に近づけば近づくほど、たとえ自分の中に依存心や欲望が沸き出てきても、「これらは、人を使って解消することではない。自分で解消するものだ」ということを理解するようになるため、それを満たすためだけに相手探しをすることはなくなってくるのです。

つまり、「昔と比べて、恋愛&結婚する人が減ってきた」といっても、人を愛する人が減ってきたということではありません。
今までの恋愛&結婚が全て本当の愛に基いているものかどうか、というとそうではないからです。特に好きではないけれど言い寄ってきた相手と付き合う人もいれば、経済的な理由で結婚をする人だっていますしね。

逆に、現段階で「恋愛&結婚をしたいと思っていない人」でも、本当に愛する人と出会ってしまったら、恋愛もすれば、場合によっては結婚することもあり得ます。
それは、お互いが本当に心から惹かれ合い、恋に落ちてしまったら、よほどの障害がない限り、関係は始まってしまうことが多いからです。だから、彼らの多くが「独身を貫こうとしている人」というわけでもないのです。

つまり、恋愛&結婚が減ったことのポジティブな背景にあるのは、(真の)自立する人が増え、自分に欠けているものを埋めるため(だけ)にパートナーを探すといった、「無理やり恋愛(結婚)する相手を作ろうとする人が減った」ということ。
個人的には、今後、人間が進化していくにつれて、もっとそういう人が増えてくるのではないかと予感しています(※だからといって、常に恋愛をしていたい人を否定しているわけではありません。誰もが自分の状態によって、求めるものは変わってくるし、その人にとっては必要な経験でもあります)。

このように、恋愛&結婚をしない人が増えた背景には、「恋愛&結婚をしたいと思っている人ができないネガティブな原因」と、「そもそも恋愛&結婚をしたいと思っていない人によるポジティブな要因」があります
前者は改善していったほうがいいですし、後者は時代の流れを考えると、今後、もっと増えていきますが、それは悪いことではありません。
これから先はもっと「恋愛(結婚)をする人生が一般的という価値観」から、「恋愛(結婚)するのと同じくらい、しないことも選択肢の1つだという価値観」に変わってくるでしょうね。
 

 

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