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「断食をすると長生きする」「長寿のためには○○を食べるべき」といった趣旨の記事を見かけたことがある方も、多いのではないでしょうか?記事によって主張が異なる場合も多く、「医者のいらないラジオ」に質問が届くことも。今回は、「長生き」について、山田悠史医師に聞きました。
 

教えていただいたのは……

 

山田 悠史
米国内科・老年医学専門医。慶應義塾大学医学部を卒業後、日本全国の総合診療科で勤務。新型コロナ専門病棟等を経て、現在は、米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学老年医学科で高齢者診療に従事する。フジテレビライブニュースαレギュラーコメンテーター、NewsPicksの公式コメンテーター(プロピッカー)、コロナワクチンの正しい知識の普及を行うコロワくんサポーターズの代表。カンボジアではNPO法人APSARA総合診療医学会の常務理事として活動。最新刊は、『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』(講談社刊)。
Twitter:@YujiY0402

 

編集:「16時間の断食が長寿と健康によい」と紹介する記事を読んだリスナーの方から、「断食には、医学的な健康効果があると判断してもよいのでしょうか?」という質問をいただきました。山田先生、いかがでしょうか?

山田:そうですね、どう思われますか?

編集:えっ(笑)。予想ですが、「断言はできない」でしょうか……?

山田:正解です。断食の健康効果に医学的な根拠がある、と断言することはできません。断食についての研究はありますが、その多くはマウスを使用した研究にとどまっています。

「断食をすれば長生きする」という仮説を実際に証明するには、「断食をしている人」と「断食をしていない人」を比較し、その方々が寿命を全うするまで追跡しなくてはいけません。たとえば、20歳からスタートし、仮に80歳まで生きるとしたら、60年間は必要ですよね。研究期間が長くなることもあり、「長生きに繋がる」ということを証明するのは、とても難しいのです。