年齢を重ねるたび、変わっていく優先順位


「男女の友情は成立しない」「女の友情はハムより薄い」なんて言葉を聞くと、切なくもなるけれど、それって仕方がないことだとも思う。もちろん、友だちを大事に思う気持ちは変わらないけれど、恋愛をすれば恋人が、結婚をすれば夫が、出産をすれば子どもが……と優先順位が変わってしまうのは自然なこと。

だからこそ、舞は戸惑っているんだと思うんです。幼なじみという唯一無二だった間柄が、特別じゃなくなってしまうことに。

男女の結びつきは恋愛だけじゃない。女同士の友情だって、ずっと続いていく! 心ではそう思っていても、現実ってやっぱり厳しい。

史子の登場で、舞がもっと素直になれたらいいな。そしたら、ちょいと鼻につくあの子のことも、許せる気がするのに。だって、史子の地雷行動、流石にやばすぎません?

①舞に「(貴司の)奥様ですか?」と聞いておいて、否定されたら「良かった」と言っちゃう。

②奥様ヅラをして、デラシネを訪ねてきた舞にお茶を出す。

③短歌の知識で、舞にマウントを取る。



最初は、ピュアな子なのかな? 好きな人に夢中になりすぎて、まわりが見えていないだけなのかな? と思っていたけれど、「(貴司が綴った短歌の意味を)分からへんのもしゃあないです。梅津先生と私には、共通の知識があったから読み取れただけで」と絶妙なマウントをとってくるあたり、ただものではない。

 

さらに、「先生のそばにおること、悪く思わんといてくださいね」とか言えちゃうのも、やばい。しかも、舞と2人きりの時に言うところが、もう策士です。本当にまっすぐな子だったら、柏木(目黒蓮)みたいに、好きな相手がいる前で宣言していたと思うんですよね。



ただ、彼女にも彼女で抱えてきたものがある。やっと孤独を分け合えるかもしれない相手を前にして、ついズルくなってしまう気持ちも分かります。でも、繊細な貴司くんはきっと史子のズルい部分に気付いているはず。

「銀の糸通しのように足重ね 羽虫はやがて沈んでいった」

貴司くんの“羽虫”(=孤独)を沈めてくれるのは、舞しかいない! と信じたくなる気持ちと、優しい彼のことだから、史子の猛アタックを受け入れるのでは? という不安が入り混じっている『舞いあがれ!』。最終回が近づき、さらに面白くなってきた朝ドラから目が離せません!
 

 

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