ファッションエディター松井陽子さんが、トッズの真っ白なスリッポンを紹介します。

皆さん、こんにちは。

三寒四温、……二寒三温?
日増しに春へと向かっているようですね。
でも、風は冷たい……! まだまだ厚手のアウターが手放せません。

前回の記事はちょうど沖縄キャンプ中だったなー。あの湿度の高いむわーんとした空気、半袖で歩き回っていたことももうすっかり思い出の中の出来事です。

あの時の旅に持っていった真っ白のスウェットは、今も大活躍しています。そして、今日も私の足元は真っ白な靴。

……そう、確かに”白”が気になっています。それも、真っ白!

 

トッズのスリッポン。何年か前に購入したのですが、意外と履く機会がないまま箱に入っていました。それが! ここ最近の一番人気です、私の中で(笑)!

 
靴&バッグ#トッズ
Tシャツ#プチバトー
パンツ#シンゾーン
ストール#エルメス

全身はこう。シャンブレーの濃いめのブルーのシャツに白いTシャツを合わせて。黒いウールのパンツには防寒対策で明るめのグレーのタイツを。そして白い靴、ドーン!笑

 


真っ白というのは、白の色調いかんというより、一点の曇りもないクリーンな白、ということです。埃っぽくなくて、汚れていない、まっさらな白。ピュアな白、です。

ふとそのことに気づいて、「この頃の私、少し変わってきたな」と実感しています。

特に若い頃、真新しいスニーカーを履くのが恥ずかしかった。上履きも、そう。ピカピカの一年生みたいで、慣れた感じが全然なくなってしまうあの感覚。小っ恥ずかしくて、早く馴染んでくれたらいいのになって、なんとなく居心地の悪いあの感覚。

大人になっても、特に白のスニーカーはやっぱりそうでした。垢抜けないというか、買ってきたばかりの靴を履いてきてしまったかのような照れ感というのか、それこそまさにこなれ感がないというべきか。そこだけ唐突に別人みたいになって、しっくりこない。白であっても、もう少しだけ馴染んだものや、少し生成りくらいの方が得意でした。

ところが、です。近頃は、白は真っ白でないと落ち着かない!

人ってこんなにも変わるんですね。でも、それはどうやら趣味嗜好や生活環境の変化だけではないような……?

白のスウェットを買った時に、なぜここまで真っ白にこだわるのだろうかと考えてみました。スウェットはともすると家着やパジャマにもなるから、それとは一線を画すものを意識的に探していたのでしょう。そして実際、旅先でも重宝しました。沖縄の陽射しのもと白の強さが際立って、ラフなスタイリングでも手抜きには見えない。(……って思っているのは自分だけ?) 少なくとも、パジャマのまま来てしまった人にはなってなかった。はず。

スウェットだから? でも、それだけなのかな? 突然舞い降りてきた真っ白と自分の距離感の変化について、しばらく漠然と考えていました。そしてある日、腑に落ちました。

それは、私の人生の先輩でもあるマディソンブルーの中山まりこさんと、とある撮影の日に会った時のこと。いつもとなんだか印象が違う。その日まりこさんはうっすらとメイクをしていたのです。私と同じくらいノーメイクな大人の女性。なのに、えー! とっても新鮮! そしてとってもきれい。

「ね、ね、まりこさん、今日メイクしているの?」
「そうよ。今回のパリの持ち帰り品はメイクだったかもねー」、と。
メイクするとどうも不釣り合いになっていたカジュアルスタイルが、メイクした方がしっくり似合うようになった。そのことに、つい最近パリにいってフランス人の友人とお食事をしたり、そして街を行き交うパリのマダムを見ていて気がついたのだそう。私に必要なのはメイクアップだ、と。とってもシンプルな回答でした。

素肌の質感を整え、パーツの輪郭を際立たせ、メイクアップと言ってもそのくらい。でも確実にエレガントで、断然素敵でした。余裕が感じられて、メイクをした方がこなれた印象になっているのです。

きっと、私の白い靴も同じ。白がちゃんと白いままの方が、しっくりくる。私は今のところ、メイクではなく、白が真っ白かどうか、ということなのだと思いました。


「きちんと手をかけている、清潔である」。

それを手放すことが”カジュアル上手”でははない、ということです。
むしろ、大人のカジュアルスタイルこそ、それが必要になってくるのでしょう。

みずみずしさを湛えたピュアな素肌や、ツヤツヤとつやめく健康的な髪が少しずつ過去のものになっている今。顔やデコルテ、首元にもシワが増え、影やくすみを持っている今は、想像もしていなかったけれどきっと真っ白の適齢期なのでしょう。白ならではの清潔感、そして光を取り込んでくれる白の存在感。それが今の私には必要になったということです。

履き込んだデニムのフェイド感……? とまで言わないけれど、人生も半世紀にもなると、意識しないと失われるものが清潔感、なのです。そして色気も。

だからと言って全身で真新しいものを選ぼうとするのでは、それはそれで年齢にふさわしい知性や洗練という言葉から離れてしまいます。だから真っ白は1点くらいでいいのかもしれません。それでも、清潔を心がけるだけで印象はきっと変わってくるはず。

色気もそう。だからメイクが自然に似合うのかもしれません。

まりこさんにとってのメイク、私にとっての真っ白。
ちょっと違うようで、きっと根っこにあるのは同じ感覚です。

メイクはまだもう少し先に取っておいて、今は「あえての真っ白」を大いに楽しもうと思います。

 

アウターを撮り忘れてしまいましたが、こんなシャツスタイルに、今日は分厚いダウンジャケットを着てきました。春物の撮影、室内は温室のように暖かいので、シャツで十分です。


2月ももう後半。次回はもっと春らしいおしゃれを楽しんでいるかな?

それにしても、長かった1月が終わり、2月はあっという間です! 撮影の仕込みや入稿など、呑気に構えていたら来週はもう3月になっていました。ひゃー。。。

お雛様、卒業式、そうしたら春休み。始まりの春はどんどん進んでいきますね。
 

それではまた2週間後に。
Good day!!

松井陽子
Yoko Matsui
Instagram: yoko_matsui_0628

構成/幸山梨奈

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