研究結果を見るときに注意してほしいこと


山田:研究結果だけ聞くとそう感じてしまうかもしれませんが、たとえば年齢を重ねると代謝が悪くなり、同じ量のアルコールが持つ意味も、変化しますよね。個人によって代謝も異なりますし、こうした研究を一般化し、どの程度個人に当てはめてよいかは、少し注意する必要があります。

 

編集:たしかに! 体格や年齢の違いは、考慮しなくてはいけませんね。

山田:そうですね。この研究が教えてくれることは、「1日ビール2缶を超えると、認知症にとっては過度の飲酒である可能性がある」、という点なのではないでしょうか。

編集:ビール2缶と聞いて、「過度な飲酒」をイメージされる方は、少ないかもしれませんね。覚えておきたいと思います。

山田:少し話は逸れますが、過度なアルコール摂取以外に知られている認知症リスクとして、「社会的孤立」があります。適度な飲酒習慣がある方は、一緒にお酒を飲むような友人や家族がおり、孤立や孤立感が少ないということも、研究結果に関連したかもしれません。

編集:私たちの身近にあるお酒と、認知症の関係についてあらためて勉強になりました。人間関係を大切にしながら、ほどよくお酒を楽しみたいなと思います! 本日もありがとうございました!
 

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構成/新里百合子
 

 


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