まず、「インスタ叩き叩き」。その名の通り、「インスタ叩き」の風潮を叩く、つまり批判したい、というもの。

SNSで楽しそうな日常を切り取って見せる主に若い女性を、揶揄したり批判したりする風潮が目につく。そんなインスタ叩きを私は全力で叩きたい。素敵な一瞬をつかまえるには努力や準備が必要だ。インスタ叩きをする人たちは、おそらくそれを無駄で滑稽だとかくだらない虚栄心だと決めつけたいのだろうが、素敵なことは待っていても起こらないと彼女たちは重々承知しているのだ。いつかや誰かを待たずに、楽しいことをつかみに行く姿勢が、私にはとても素直で前向きに見える。(『とりあえずお湯わかせ』より)


映えを求めて工夫する女性を揶揄するムーブってありますよね〜。もはやインスタ女子叩きが一つのエンタメにすらなっている。

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自分のテンションを上げるため、思い出を作るため、ときめきを得るため、今を存分に楽しむために、見た目を磨いたり映えを求めたりする人を笑うのってやっぱりおかしい。努力する人を馬鹿にする権利なんて誰にもないはず。

そして私たちもどこかで他人の目を気にして、どこかでストッパーをかけていることってあると思うんです。

 

でも、自分の欲求って、迷惑をかけない限り他人に制約されるものではないはず。

柚木さんは「SNSで楽しそうな日常を切り取って見せる」女性たちを次のように分析します。


若い女性の自己満足が腹立たしいのだろうが、自分の満足する方法を知っている、他人に感情をいっさい任せない姿勢は、むしろどの世代も見習うべき長所ではないだろうか。きらめく一瞬を切り取りお気に入りを集めて、なまくらな日常に抗う姿勢はどう考えても、現実的かつ勇敢なのだから。(『とりあえずお湯わかせ』より)


うう! 泣ける。そしてなんて力がわいてくる言葉なんでしょう。

私も、書籍を刊行した際、イベントに出るときなど、すごく見た目にこだわって行きました。それはやっぱり、今しかないこの時を、最大限に楽しみたい。一番自分が納得のいく形を残したいから。リボンの長さから、目の周りに付けるラインストーンの位置など、前日から悩みに悩みぬきました。

自分のテンションを上げるためには、すごく時間や準備が必要。こだわりぬいた結果、すっごく楽しかったし、忘れられない思い出になりました。

そしてインスタにアップしましたが、やりすぎって思われないかなあ、とか人目はやっぱり気になりました。でもそんな時、この本を思い出すと勇気がわいてくるんです。自分の「一番心地いい」を求めることは、誰が何と言おうと素晴らしいことなんだと。