泊まりの介護サービス「ショートステイ」


相談者・雅美さんのご友人が泊まりの預け先として考えた「ショートステイ」は、自宅での介護が難しくなった一定期間、親を老人ホームや介護施設に預けられるサービスです。

在宅介護が中心でも、今回のように家族の事情で一時的に在宅での介護が難しい状況になる場合もあるでしょう。そんな時に、最短1泊から、最大30日間連続で利用可能なのがショートステイです。家族が体調を崩したり、入院、旅行、仕事、冠婚葬祭のほか、介護者が疲れて休息が欲しい時や介護施設の入居待ちの時などに使われています。預け先では、主に食事や入浴などの介護サービスを受けられます。
 

介護保険制度を使ってリーズナブルにお願いしたい


介護保険を適用すれば、自己負担額は1〜3割となり、費用負担は軽減されます。そのため、預け先を探す際は介護保険が適用されるショートステイから検討することになるでしょう(※要支援1以上の要介護認定を受けている方が対象)。

なお、ショートステイは利用者の状況に応じて「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」の2つに分けられ、それぞれ建物内の一部の個室が提供されます。

 

料金は部屋のタイプや施設によって異なりますが、自己負担1割の場合、1泊2日で3000~8000円程度が相場です(介護保険適用外の食費や滞在費も含む)。ただし、介護保険制度を利用できるショートステイは人気が高く、受け入れ先が少ないこともあって1〜2ヵ月先まで予約が埋まっていることも。そのため、急な利用は難しい場合もあります。また、連休や年末年始などは、予約が集中して取れないことも多くなっています。

雅美さんのご友人のように、緊急時に対応可能なショートステイを探すのは、本来ケアマネジャー(介護サービスを円滑に利用できるようにサポートする介護支援専門員)の仕事です。

多少遠方であっても自費で送迎料金を払えるのであれば、遠方の施設に依頼できる場合もあります。ただし介護保険が適用されるショートステイを利用する場合は、ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう必要があることをお忘れなく。短期間であれば、ケアプランがなくても利用できる場合があるので確認してください。

 


お金はかかっても預け先を確保したい


どうしても宿泊が必要だけど、介護保険適用のショートステイを確保するのは難しい。そんな時は、以下のようにお金で解決できる方法があります。

①有料ショートステイ
一部の有料老人ホームやサ高住では、介護保険適用外のショートステイを提供しています。費用は全額自己負担で、1泊1~1.5万円ほどかかる場合もありますが、比較的空室があるため確保しやすくなっています。ケアプランも必要ないので、ケアマネジャーを通さず申し込みが可能。施設によっては、要介護状態でなくても利用可能なところもあるので、「介護認定はされていないけれど、高齢の親を家に1人で残しておくのは不安」というご家庭にもオススメです。ほかにも、「有料老人ホームに体験入居という形でお願いしてみる」ということも試してください。今すぐ入居するわけではないなど、理由は伝えておきましょう。

②お泊まりデイ
通所介護事業所では、自費による宿泊を受け入れるお泊まりデイサービスもあります。これは日中デイサービスを利用している方が、夜もその施設にそのまま宿泊できるというもの。こちらも介護保険制度外のサービスなので全額自己負担ですが、1泊平均5000円ほどと有料ショートステイよりリーズナブルです

③家政婦、ホームヘルパーの利用
自宅に入られることに抵抗がない方は、家政婦やホームヘルパーの派遣会社にお願いするという手も。昼間はデイサービスを臨時で増やしてもらい、それ以外の時間をお任せすることになりますが、こちらも1日1~1.5万円はみておいてください
 

緊急時の宿泊は、まず「ケアマネジャーに相談」から


緊急でショートステイを使いたい時は、まずケアマネジャーに相談し、緊急時の利用が可能かどうか確認してください。これは「緊急短期入所受入加算」といって、あらかじめ計画していないショートステイを緊急で利用した場合に算定できる加算です。

多少遠方でも、この「緊急短期入所受入加算」を利用して受け入れ先を探してもらい、見つかれば最長で連続14日間利用できます。

今回紹介したように、自費でのショートステイやホームヘルパーの訪問などお金で解決できる方法もありますが、本来は「まずはケアマネジャーに相談」が最もやっていただきたいことです。この方法で確保することが困難な場合は有料サービスに頼るということを、知識として覚えておいてください。


写真/Shutterstock
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
編集/佐野倫子

 

 


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