——女性同士の連帯だけでなく、社会全体が変わっていかないと根本的に問題は解決しない、というところを描きたかったんですね。

柚木:「女の子、仲良し」のエンターテイメントって、作り手はみんな熱い気持ちでつくっていても、この状況を変えたくないタイプの人にとってすごく耳ざわりのよいコンテンツになってしまう可能性もある。問題が起きても女性同士で優しさを発揮して、いい感じに手弁当でやってくれて、こっちに頼らず、解決してくれるんでしょ? みたいな。だから、一見そういう感じで解決する、と見せつつ、社会全体でやっていかないといけないという風に持っていきたいなと思ったんです。

 

柚木:もちろん女性同士が連帯することや、声を上げることはすごくいいこと。だけど、それに社会が乗っかって、明治時代のように国が何もしてくれない、というのではダメで。全員で取り組まないと、連帯は大事ですが、連帯に全部乗っかっていくのは違う。

 

——学生の貧困もそうですよね。助け合いで一旦はどうにかなっても、根本的な解決にはならない。

柚木:そうなんです。四葉さんの宝石は役には立つけれど、それでもどうにかはならない。でも、誰かに手を差し伸べた経験や、誰かの手をとった経験が、巡り巡って、もう一回出会えるキッカケになったらいいなって思ったんです。

私自身、誰かのためになにかしても、結果何にもならなかったことがいっぱいあるし、見当外れなことを言っちゃったな、ってこともあります。だからといって、女性が女性を救うことに物凄く目が厳しいという状況は、それはそれで問題だなと。そもそも一人で解決できる問題なんてないじゃないですか。何でも手弁当に頼り過ぎると破綻するし、人って完璧じゃないけれど、かといってそこを叩くのは違うんじゃないかな。人が人を助けること、そして次世代は自分の時よりちょっとよくなってほしいっていう気持ちは失っちゃだめだと思うんです。