何十年も日本にいる、でも在留資格がない理由


——仮放免の方の中には難民ではないけれど、日本に長くいるという方も少なくないんですよね。

イラスト:Shutterstock

大澤:色んなケースがあります。最初は留学生として日本にきたある方の場合は、長く暮らしているうちに在留資格を失いました。在留資格には期限があるので途中で切れてしまうケースも多いんです。もう20年近く日本に住んでいて、日本で結婚もしています。お子さんがいるのですが、日本で生まれ育ったお子さんは日本語しか話せない。本人は家族と離れ離れになりたくないから帰国はできない。本来10年以上日本に住んでいる外国人は永住権の申請ができるんですが、在留資格がきれてしまった仮放免の状態になると永住権の申請ができないんです。

定住傾向にある方は多く、特定非営利法人 北関東医療相談会が仮放免の人の滞在年数を調べたところ、仮放免の方の日本での滞在年数は30年以上が16%、25年~29年が9%、20~24年の人が12%、15~19年の人が17%で、15年以上の人だけで半数を超える結果となりました。

——長く日本に住んでいても、在留資格がなくなれば打つ手がなくなってしまう、ということですね。
働いている実績とか、結婚したりお子さんがいたりする事実があっても日本に住む資格が得られるとは限らないということでしょうか。

大澤:そうなんです。20年以上日本にいて日本語もペラペラで、日本人の方と結婚されて、子供もいて、でもずーっと仮放免という方もいます。

——在留資格が切れるとどうなるのでしょうか。

大澤:基本的には在留資格がなくなると日本政府から「母国に帰ってください」と言われます。それを断ると入管施設に収容されますが、されない場合もあります。収容されると、日本の入管施設は「無期限収容」なので、人によっては収容が10年など長期に及ぶこともあります。2~3年は当たり前です。