「腟内のケアって抵抗があるのですが、ケア用品はどう選んでどう使えばいいの?」
「閉経後もみんなセックスしてる?」
「セルフプレジャーをするとキレイになるって本当?」

普段人にはなかなか聞けない、フェムゾーンにまつわる疑問や更年期以降の性生活にまつわる悩みごと。女性泌尿器科医の第一人者・関口由紀先生が真剣に答えてくれました!

 

 

Q1. お股もケアが必要と聞きますが、腟の中に何かを塗るのは怖いと感じてしまいます。ケア用品の選び方と使い方を知りたいです。  

A. 外陰部は市販のボディ用保湿剤でOK! 腟内に使用するものは添加物が少ないオイルやクリームから始めて。


フェムゾーン(腟と外陰)は、生理・出産・排尿・排便・性交にかかわる場所。いわば24時間365日、ハードな雨風にさらされているようなものです。かつて陰部はデリケートゾーンと呼ばれていましたが、デリケートな皮膚ではこの刺激には耐えられません。皮膚の強さは顔→陰部→ボディという順番なので、フェムゾーンのお手入れにはボディ用の保湿剤を使っていただいて大丈夫です。小陰唇やクリトリス・尿道・腟前庭部(腟口から2cmくらいまで)などの皮膚と粘膜の移行部分まで使うことができます。

どうしてもフェムゾーン専用ケアアイテムを使用したい場合は、選ぶポイントとしては、まずはなるべく何も入っていない添加物の少ないオイルやクリームから始めるべきです。その上でさらにもう一歩、フェムゾーンの美容を目指したい場合は、差別化する有効成分に関しては効果に個人差があるので、自分でどんな成分が入っているのかを認識して、その成分が自分に合うか合わないか判断した方が良いでしょう。

腟前庭部(腟口から2cmくらいまで)より奥の腟内に関しては、健康な場合は腟分泌物による自浄作用があるので、基本的にはクリームやオイルで保湿する必要はありません。しかし生理直後や更年期以降は、腟内の常在乳酸菌であるデーデルライン桿菌が減るので、乳酸菌入りの腟洗浄剤などを定期的に使用すると、腟炎の発生を予防することができます。時々腟内のマッサージもしてみましょう。やり方は下記を参考にしてください。

 

<フェムゾーンケアのルーティン>


①お風呂場で汚れをやさしく落とす
洗浄剤をしっかり泡立て、大陰唇、小陰唇のひだを指でやさしくつまむようにして洗います。腟内はソープで洗わないこと。ヒダの裏側も忘れずにやさしく洗い流しましょう。

※特に皮膚に問題がない場合は全身用の洗浄剤で充分です。皮膚の弱い方は、フェムゾーン専用洗浄剤を試しましょう。入浴時のほか、ムレやすい季節や外出時などに女性器に不快感を覚えたら、専用のウエットシートでさっとふくだけでも、雑菌の繁殖を予防できます。

②お風呂上がりにしっかり保湿
ボディ用のクリーム、ジェルなどを外陰の表面に1、2滴塗って潤いを与えましょう。もし乾燥が気になる場合は、クリームに植物性オイル(セサミオイル・スイートアーモンドオイルなど)を混ぜてもOK。軽く全体をマッサージをして血行を良くしましょう。
 

<腟内マッサージの手順>


腟に指を4cmほど入れ、腟前壁、側壁、後壁を優しく圧迫してみてください。痛みや違和感がある場所を中心に、血流をよくするイメージでやさしく揉みほぐしましょう。

そして最後に、挿入した指に向かって腟・尿道と肛門を締め、指を胃のほうに持ち上げることができるかどうか確認します。持ち上げることができれば骨盤底筋が上手に収縮できている証拠です。

このほか、フェムゾーンを健康に保つためには以下のことも心がけて生活に取り入れていきましょう。

・骨盤底筋トレーニング
・質のいい睡眠を心掛ける。
・暴飲暴食は避ける。

こういった保湿&骨盤底筋トレーニングのフェムゾーンケアがきちんと習慣化できると、閉経後に起こりやすいさまざまなフェムゾーンの不快症状であるGSMにかかりにくくなり、生活の質を上げることにもつながります。