Q2. 夫とは長年セックスレスです。性生活のある友人は更年期を過ぎても若々しく、女性として輝いて見えます。やはりいくつになってもセックスはしたほうがいいのでしょうか?  

A. セックスは美のためにがんばってしよう、というものではありません。ただ、何か不調があってセックスレスになっているならば、治療をおすすめします。

 

欧米ではセックスレスは離婚に直結するので性的意欲低下は大問題ですが、日本では50代以降ではセックスレスのカップルが残念ながら多数派となっていますね。

 

医学的なエビデンスはまだありませんが、性欲は生きる意欲と相関しているというのはあると思います。長年、中高年女性を診てきた泌尿器科医の私の印象は、セックス(挿入を伴わないスキンシップも含め)が継続的にある人は、ない人に比べて溌溂としていて若々しい印象です。

セックスレスの要因はいろいろありますが、ひとつは50代前後で閉経を迎えた女性の50%前後に、女性ホルモン低下による性欲減退や性交痛をはじめとするGSMの病状が発生するという身体的な問題があります。加えて精神的にも「したくなくなる」こと。これは夫婦関係の問題もありますが、実は、男性ホルモン(テストステロン)やドーパミンの低下で「したい」という意欲がわかない場合もあり、性的意欲障害という女性性機能障害の一症状で、治療の対象となるのです。

「したい」という性欲にかかわっているのは男性ホルモン(テストステロン)です。テストステロン値が高い人のほうが、男女ともに健康寿命が長いことがわかっています。
テストステロンは男性ばかりでなく女性にとっても筋肉量や骨の強さに欠かせない元気ホルモン。特に、閉経後に女性ホルモンが低下した女性の場合、性的意欲を含む生きる意欲を維持するためにテストステロンは重要で、テストステロンまでが枯渇してしまうと虚弱が進みます。そうなると、パートナーとのセックスに応じられません。また、性的活動がある方は「性交痛」や「性交痛出血」など異変に気づきやすく、早くにGSMに対応できるメリットがあります。他にも胸のしこりをパートナーに指摘され、乳がんの早期発見につながった方も多数いらっしゃいます。

性交痛があってセックスができないという場合は、局所への女性ホルモン補充でほとんどの方が改善します。女性ホルモン補充で症状に改善が見られなければ、更年期以降の女性には少量のテストステロン補充療法という選択肢もあります。

セックスはカップル双方がしたくないのであれば無理に続ける必要はありません。ただ、したいのにできない場合は上記のような治療がありますので、ご相談くださいね。