女性の更年期には閉経というわかりやすいサインがあります。時期も平均50歳前後と大体同じくらいの期間に起こることから、「イライラやほてりなどの更年期症状=女性特有のもの」と認識している人も多いはずです。
しかし最近では、男性もストレスや加齢などによって男性ホルモンである「テストステロン」が減少することで、女性と同じような心身の不調をきたす男性更年期があることがわかってきました。男性の6人に1人が隠れ更年期と言われているのです(2014年総務省統計より)。
実はこの男性ホルモンのテストステロンは、更年期以降の女性にとっても大切な存在であることを知っていましたか?
「名前のせいで誤解が生じますが、割合として男性には男性ホルモンが多く、女性には女性ホルモンが多いというだけで、男女ともにどちらのホルモンも持っています。そもそも女性ホルモンは男性ホルモンを原料につくられるので、女性にとっても男性ホルモンは大切です。特に、閉経後の女性にとってテストステロンを維持することはそのまま健康寿命に直結していると私は考えています」
そう教えてくれたのは泌尿器科医の関口由紀先生。今回は、女性の身体におけるテストステロンのはたらきと、閉経後にテストステロンを維持するための生活のヒントについてお話を聞きました。
女性の行動力や性欲にもテストステロンがはたらいている
元気ホルモンとも呼ばれる、男性ホルモン「テストステロン」。実は女性も、男性の10分の1~4分の1程度ですが、このテストステロンを持っています。
「あまり知られていませんが、卵巣や副腎から分泌される女性ホルモンのエストロゲンは、男性ホルモンのテストステロンが原料です。
女性の月経周期は、徐々に女性ホルモンの分泌が上がる卵胞期の約1週間後に排卵を迎えます。この時期にエストロゲン値がピークを迎えるのですが、その裏で原料となるテストステロン値もピークを迎えます。エストロゲンの作用で肌や髪の調子がよくなったり、優しく穏やかな女性らしさがアップする一方で、テストステロンの作用で行動力にもあふれ、性欲もアップします。女性にとって排卵期は絶好調のキラキラ期であるのはホルモンのはたらきによるもので、排卵のタイミングに向けて本能的にそうできているということです。
元気ホルモンのテストステロン値が高くなるこの時期は、試験や試合などの勝負ごとにも相応しいタイミングと言えます。女性の身体もずっと男性ホルモンの影響を受けているのです」
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