シワ1本増えるごとにくよくよ悩むのはもったいない

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奥田 とはいえ、どんなに最新の技術や医療でも、老化を止めることはできません。老化に抗おうとし過ぎるのは、自ら苦しみを生み出していることに気付かないといけないですね。仏教でいうところの「執着」を増やしている。「こうあらねばならない」という過剰なこだわりや、「いくつになっても若く綺麗でいたい」「歳をとりたくない」といった強い執着が増えれば増えるほど、現実が思うようにならなくなって苦しみを増やしてしまうと、2500年前のブッダがすでに教えてくれています。

中村 おっ、先生の仏教好きが出たな(笑)。全く、シワ1本増えるごとにくよくよ悩んだり、憂うつになったりしてしまうのは、私から見たらもったいない、アホらしい時間とエネルギーの使い方や。せっかく私と違って、平和で豊かな時代に生まれたんやから、そのエネルギーと時間をもっと違うことに使えばええのに。今は安全に、快適に行きたいところに行けるし、美味しいものも街にあふれてるし、仕事も遊びも趣味も、ひと昔前とは比べ物にならへんくらい、自由になんでもできる。年寄りになって体にガタが来ないうちに、もっと色々と楽しんで欲しいね。

 

奥田 老化は自然なことだと開き直る潔さを持つと、心が余計なことに振り回されなくなって、視野がぐーんと広がる気がします。歳を重ねることに対して不安や恐れを手放すことで、心の平穏にも繫がっていきますね。先生のように、年齢を自然に受け入れながら、お洒落やお化粧などは「アンチエイジングの苦しみ」を生まない程度に、ほどよく楽しんでいこうと思います。

中村 そうやな。お洒落やお化粧なんてのは、本来は気分を良くするためにすることなんやから、それが苦しむタネになってしまったら本末転倒や。