「帯状疱疹」の症状、治療、原因は? 厄介な合併症のリスク


山田:「帯状疱疹」の初期段階で、神経が炎症を起こし、ピリピリとした痛みが出るのですが、それに伴って、水ぶくれをともなった赤い発疹が、典型的には体の左右のどちらかに、帯状にあらわれます。その際、痛みだけが先行して出て、発疹が目立たないというケースもあるのですが、その場合には診断は少し難しくなります。

 

編集:「帯状疱疹」といえば、皮膚の症状だけでなく、痛みに悩んでいる方も多い印象です。どのように治療されるのでしょうか?

山田:大きくは、抗ウイルス薬による治療と、痛みの緩和の2種類の治療です。

痛みの緩和には一般的な痛み止めも使用されますが、「帯状疱疹」の神経痛は通常の痛み止めでは効果が限定的で、神経痛に特化した薬が使われることがあります。

また、皮膚のケアも重要ですね。帯状疱疹の発疹部分には、塗り薬や保護剤が使用されます。

また、帯状疱疹が頭の神経に沿って広がって目に症状が出る場合、失明のリスクがあるため、目のケアにも特別な注意が払われます。

皮膚の発疹自体は治療を進めるうちに治っていきますが、「帯状疱疹」を発症した人の2割程度が、神経に損傷を起こし、3ヵ月以上続く神経痛に悩まされると言われています。

編集:神経痛が残る場合もあるのですね……!

山田:はい。「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と呼ばれる、非常に厄介な合併症です。仕事や日常生活、集中力に影響を及ぼすこともあります。やはり、「帯状疱疹後神経痛(PHN)」だけでなく、「帯状疱疹」自体も、できれば予防するに越したことはない、という病気の一つなんですよね。

ほとんどの場合、命を奪うような病気ではありませんが、痛みは生活の質を下げてしまい、生産能力を落とすことから経済的な負担も増える可能性があります。

編集:そうですよね。お話を聞いて、できるだけ発症したくないな......と思いました。ちなみに、日本人の約90%が「帯状疱疹」のウイルスを保有していることは理解できましたが、どんなきっかけで発症するのでしょうか? 50歳代からの発症率が高いということは、やはり加齢が原因なのでしょうか?

山田:加齢は「帯状疱疹」発症リスクの一つと考えられていますが、「帯状疱疹」を発症する具体的な原因は、必ずしも明確ではありません。疲労やストレスがきっかけで発症する、とも言われていますが、「これをやったら発症する」という確実なものがあるわけではないのです。

ただ、大きなストレスがかかった際に問題になることが多くありますよね。コロナのパンデミック中にも、コロナに感染した後やワクチン接種の後に「帯状疱疹」を発症した、という報告が飛び交いました。やはり、ストレスがかかる出来事があると、それに応じて「帯状疱疹」が出てくることはあります。

編集:なるほど……。人は歳を重ねていくものですし、人生には大きなストレスがかかることもありますよね。やはり、予防が大切だなと感じました。予防法について教えていただけますか?