放射線は、土日を除く毎日、計28回の照射を行います。自分ががんになるまでは、放射線がとてつもなく恐ろしいもののように感じていましたが、実際の照射は、台の上に横たわって、5分から10分、大きな機械が自分のまわりをぐるぐると回っているだけ。毎回ウトウトしているうちに終わってしまいます。

痛みも熱さも感じませんし、最初のころは、がんの治療をしているという実感が全くといっていいほど湧きませんでした。

抗がん剤も放射線も、はじめの1週間は余裕でした。ちょっと胃がムカムカするのと、眠気がひどいなあ……くらいの感じだったので、「これなら5週間もあっという間に過ぎていきそう!」と気楽に構えていきました。

 

ところが、2週、3週……と日を重ねるにつれて、調子はどんどん悪くなっていきました。

放射線を下腹部にあてている影響により、1週間を過ぎたあたりからひどい下痢が始まりました。何か食べ物を口にすると数分後にはトイレに走る……という状況で、1日に15回近くトイレに駆け込んだ日もあります。下痢止めも全く聞かず、後半は本当に悲惨でした。

同時に吐き気が悪化していき、入院生活が後半に差しかかる頃には、食事にはほとんど手をつけられなくなっていました。

抗がん剤治療をしているとなぜか、味の濃いガツンとしたものが食べたくなります。味の薄い病院食を見てもまったく食欲がわかないどころか、吐き気をもよおすようになりました。ただでさえ下痢をしていることもあり、体重はみるみるうちに落ちていきました(5週間で5kg減りました)。

吐き気と重い倦怠感に一日中悩まされるようになり、ぐったりとベッドに横たわったまま、何もできずに1日が終わることがほとんど。

時間がたくさんあるだろうと思って大量に持ち込んだ本は開く気にもなれず、大好きなNetflixの韓国ドラマすら観ることもできません。仕事も普通にやる気満々でいましたが、PCを開く気力もわかないこともあり、自分の考えが甘かったことを思い知らされました。

 


カミングアウトした後の、周囲の反応は……


そんな矢先、4月9日が「子宮の日」であり、子宮頸がんを予防するための日だと知った私は、その日に合わせてmi-molletで本連載をスタートさせていただきました。同時に、自分のインスタグラムでも病名をカミングアウトしました。

コラムを書くことを決めたのは、私はせっかく文章を書く仕事をしているので、自分の経験したことを伝えたいと思ったから。それを読んだ人が検査を受けたり病院に行ったりするきっかけになれば嬉しいと思ったし、私自身もそうだったように、情報を求めて不安になっている人が少しでも参考にしてくれたら、という気持ちからでした。

そうは決めたもののやっぱり反応が怖かったので、インスタに一度書いた文章を何度も消しては書き直して……を繰り返して、何回目かでようやく投稿のボタンを押しました。

 

しかしカミングアウトした後は、たくさんの応援のメッセージに本当に救われました。

特に私を励ましてくれたのは、たくさんのがんサバイバーたち。同じ子宮頸がんの人もいれば、子宮体がんの人も乳がんの人もいました。

顔を知らないフォロワーの方や読者の方がメッセージをくれたのも嬉しかったですし、知人の中にも、「実は数年前にがんになった」と打ち明けてくれた人が数名いました。実は知らないところでがんと戦っていたことに驚かされたと同時に、彼女たちの強さに勇気づけられました。

がんは一生のうちに二人に一人がかかる病気だと言われています。それにも関わらず、以前は、自分ががんになんてなるわけないと思い込んでいました。

でもがんは、誰にとっても決して遠い存在ではないのだということを、自分自身の経験だけでなく、周りにいるがんサバイバーの人たちの経験を通して、日々痛感しています。

抗がん剤と放射線治療の副作用はやっぱり辛かった……!
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イラスト/小澤サチエ
構成/山本理沙

 

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