やるからには全力、芸人以外の仕事も片手間にはできなかった


──バーのマスターになりかけた時は、どんな心境で働いていましたか?

河井:仕事は仕事で楽しむしかないと思っていましたね。働かせてもらっている以上、芸人以外の仕事は片手間で、というふうにはなかなか思えなくて。めっちゃ全力でやってましたね。

──芸人以外のお仕事を辞めたのは、芸人一本で食べていける兆しが見えたからですか? それとも、もうここで辞めないといけないと思ったからですか?

河井:33歳のとき、芸人を始めてから10年目の時ですね。ほんまにもうええわって(目を見開きながら)思ったんです。ほんまに、もうええわって。

 

──「もうええわ」の気持ちがものすごく伝わってきます……。

河井:家に入れないといけないお金は、日雇いで稼ぎました。バーで働いていた時に知り合ったお客さんが服の卸しやってらっしゃる社長さんで、そこでたまに働かせてもらって。

 

──周囲は芸人になることを応援していてくれていたんですか?

河井:バイトの先輩は、僕はずっとちっちゃいときからほんまは芸人になりたかったみたいなのを知ってたりするので、頑張れ頑張れと言ってくれました。大阪っていう土地柄もあったと思います。誰しも芸人に1回はなりたいって思ったり養成所に入ったりしますからね。

──就職という道を考えたことはなかったですか?

河井:高校卒業して、家が一番しんどい状況で働かなあかんってなったときも、就職は選択肢になかったですね。もう本当にちっちゃいときから芸人になりたかったし、勝手に自分は芸人になれると思っていたので。