小論文で最も大事なのは「なるほどね」「確かにな」

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答えがないと言われる小論文では、「どのような文章が書ければ高い得点になるんですか?」という質問などを受けますが、僕は読み手が「なるほどね」「確かにな」の状態を目指して書こうと伝えています。

それとは別に、「8割以上の字数で完結しなければ採点対象外になる可能性があるよ」という話や、論理的構成・独自性などよく小論文の評価項目として使われるルーブリックなども生徒に渡し、採点も経験してもらいます。

 

ただ、「小論文は一度提出したらもう後出しで付け足しはできないので相手が読んで疑問に思う可能性があるものについては事前に譲歩で書き込んでおくんだよ」というような話もします。

「型書き小論文などと呼ばれる文章作成のフォーマットや型みたいなのは教えるのですか?」という質問もよく受けます。

①私は〜と考える。なぜなら〜と考えるからだ
②確かに〜かもしれない。しかし〜ではないか
③データや具体例を一つか二つ
④以上の理由から私は〜と考える

というような、文章を書くときに困らない基本ロジックは教えますが、最終的にはこうした型から離れてもロジカルな文章を書けるように指導をしていきます。

いわゆる「守破離」で、型にはめた文章ばかり書いていると、書くことが作業になってしまい飽きてしまう。あくまでも困ったときのためにというスタイルで教えています。夏休みが終わると、指導のスタイルを変えます。

小論文の問題や参考になる資料をスタディルームに置いておいて、生徒たちは解説なしで小論文を書きます。書き終わったら僕のところに持ってきてもらって、添削します。

生徒たちは夏休みになる頃には「大学に受かりたい!」という欲が出ているので、自分たちで調べて小論文を書く習慣ができています。

この段階になると、生徒たちの力は飛躍的に伸びていて、自走する状態になっているので、さらに考えるきっかけになるアドバイスや添削をしていきます。

この頃には、生徒たちは自分たちの意見をきちんと言えるようになります。小論文ノートにもびっしりと書き込みがあって資料もどんどんたまっていきます。

受け身だった生徒たちがノートを通じて成長していきます。

このノートをほかの学校の先生方が見ると、みんな驚きます。平均しても50以上のトピック、5センチ以上の分厚いファイルを持ち歩いています。ここまでやれば確かに合格すると納得してくれます。

このノートは受験の際にも役立ちます。

「受験会場に入ったら周りの受験生を見てごらん。きっと小論文の参考書一冊読んで入試に臨んでいる子たちが大半だから。ちょっと重たいだろうけど、受験に小論文ノートを持っていったらいい。きっと周りの動揺が伝わってくると思う。それくらい学んで試験に臨んでいる自分を褒めたくなるし、自分を勇気づけてくれると思うよ」と伝えます。

実際に受験を終えた生徒たちから「ノートを出した瞬間めっちゃ二度見されました!」という声や「隣の子が小さい声で『えぐっ』って呟いてました(笑)」という声なども聞きます。

ノートの厚さが重要なわけではありませんが、いいイメージで試験に臨むことは大事なことだと思っています。