「検査として有効であるかどうか」を判断するポイントは?


山田:「検査として有効であるかどうか」を検証するための研究も、いくつか行われています。

「有効な検査」=「がんをたくさん見つける検査」ではありません。「がんでないもの」をたくさん見つけてしまうこともあります。また、仮に1万人に1人の確率で早期のがんを見つけても、1万人中100人が検査によって見つけなくてよかった良性の病気を検出され、さらに不要な検査や治療を重ね、10人に重大な合併症がおこってしまったらどうでしょうか。1人を助けるために、10人の命を縮めてしまう事態を招いていたとしたら、目も当てられないですよね。

あらゆる検査には、総じて「益」と「害」が存在します。はたしてこの検査では「益」が「害」を上回るのか? そしてその「益」は、「検査を受ける人の健康増進につながるのか? 」という視点で、研究されているのです。

編集:すごいですね! ついつい単純に考えてしまいがちなのですが、「早期発見」という視点の他に、「その検診が有効であるかどうか」、「自分の健康増進に繋がるのか」という視点をもつことを意識したいと思います!

 

山田:そうですね。ここで、乳がん検診のお話に戻りましょう。こうした研究の結果、乳がんではどんな検査の有効性が示されているかと言いますと……「マンモグラフィ」ただ一つなんですよね。

編集:えっ? そうなのですか?

山田:マンモグラフィ以外の検査を、「まずはこれを受けてください」と推奨している記事があったとしたら、その記事は少しビジネス色が強い可能性があります。もしかしたら、「最新の検査機器」という記載があり、心が揺れるかもしれませんが、記事などを読んで疑問に思ったら、ぜひ厚生労働省や、国立がんセンターの情報を参考にしてみてください。

こうしたホームページをご覧いただければ確認できますが、一般的な乳がん検診でまず勧められているのは、問診とマンモグラフィのみであることがわかります。一般的には、40歳以上の方に、2年に一度という頻度で勧められていますよね。

編集:ちなみに、乳がんの超音波検査はどうなのでしょうか? わりとよく知られていますし、身近な検査のような気がしますが……。