片頭痛のトリガーで、最も多いものは? 頭痛の発症予防という新たな選択も。


山田:過去に2000人ほどの方を調査した研究があるのですが、大体7~8割の方は、何かしら、1つ以上のトリガーを持っていることが報告されています。逆に言えば、2割の方にはトリガーがありませんでした。そして、その8割の方の中で、最も多いと報告されたのは、ストレスです。

編集:ストレス! それは納得です......。

山田:次いで食事を抜いたことや、睡眠不足などが報告されています。あとは天候、と答えた方も多かったですね。

編集:そうなのですね! 私はついつい朝ごはんを抜いてしまうことがあるので、その後に頭痛が起こっていないか、観察してみたいと思います。また、低気圧の日に頭痛を感じると友人たちとの間で話題に出ることも多いので、納得の結果でした。

山田:それ以外では、光や匂い、飲酒、特定の食品などが報告されています。

編集:片頭痛を引き起こすトリガーは、色々とありそうですね……。うまく付き合っていきたいです。

山田:片頭痛をお持ちで、しかも発作が頻繁な方には、発作予防薬という選択肢もぜひ知っておいていただきたいです。

編集:発作予防薬なんてあるのですね! ちなみに、どの程度の頻度で頭痛が起こっていれば、頻繁と言えるのでしょうか?

山田:厳密な基準はありませんが、目安として週に1回以上、日常生活に支障を感じる頭痛の発作を引き起こす場合には、ぜひ発作予防薬のことを思い出していただきたいと思います。

というのも、世界的に見ると片頭痛というのは、ぎっくり腰のような腰痛の次に仕事を休む原因となったり、日常生活に支障をきたしている病気と報告されているんですよ。

編集:そうなのですね! たしかに、片頭痛の経済損失は大きい、という記事を読んだとこがあります。

山田:それだけ発作を抱える人が多い中で、発作予防の治療がある、ということをご存知の方は、多くはないと思います。ぜひこの機会に、発作予防の治療について知っていただき、必要であれば受診をしていただきたいですね。

編集:頭痛の発生やトリガーとなったできごとの記録をする「頭痛ダイアリー」を始めたので、片頭痛の発作が頻繁になったときには、ぜひ受診してみようと思いました。今日は片頭痛の発生メカニズムやトリガー、発症予防の視点について学ぶことができました! 本日もありがとうございました!

 

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構成/新里百合子

 


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