「迷い」で自律神経が乱れるのはなぜ?

 

私たちが健やかに過ごすためには、交感神経と副交感神経がバランスを取りながら、適切に働いていることがいかに大切か、おわかりいただけたと思います。そのバランスを崩すといわれているのが、「感情」「ホルモン」「呼吸」という3つの要素です。なかでも、私が特にお伝えしたいのが、呼吸です。

 

みなさんも一度意識してみていただきたいのですが、何かを選択するときというのは、ほとんどの場合、一瞬呼吸が止まっているはずです。選択するときに迷いがあると、「決めなければいけない」というストレスから、交感神経の働きが強くなり、まず呼吸が乱れます。

そして、呼吸が止まったり、もしくは速く、浅くなったりすると、体内に十分な酸素が取り込めなくなります。さらに交感神経が血管を過剰に収縮させてしまうため、血液が流れにくくなります。そうすると、酸素や栄養が、脳やそのほかの器官に十分に運ばれなくなり、冷静な判断ができなくなったり、感情をコントロールできなくなって、誤った選択をしてしまいがちになるのです。

「迷う」と呼吸が止まって、交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、判断力が鈍る。そうすると、間違った選択をしてしまったり、「この選択でよかったのだろうか」という不安が生まれ、また呼吸が止まったり、浅くなって、さらに自律神経が乱れるという悪循環に陥ります。

さらに、2つの神経のうち、休息を促す副交感神経の働きは、年齢によって低下していくことがわかっています。男性は30代から、女性は40代から、加齢とともに急激に低下していきますから、必然的に交感神経が優位になってきます。

「年をとると怒りっぽくなって仕方がない」とよく耳にしますが、それにはこうした年齢による自律神経の変化が関係しているのです。ですから、年をとればとるほど、「迷わない」ことが大切になってきます。