40代以降の女性の約40%、60〜70代になると約半数以上の方が尿もれに悩んでいます。尿もれも、閉経による女性ホルモンの減少が大きく関わっています。
「50歳前後の閉経により女性ホルモンが減少すると、骨盤底筋群が衰えます。
骨盤底筋とは子宮や膀胱など骨盤周りの臓器を支え、排泄をサポートするインナーマッスルです。ここが弱ると、どうしても尿が漏れやすい状態になってしまいます。また、年齢を重ねると体重が増加傾向になり、重くなった身体を支えるためにさらに骨盤底筋に負荷がかかり脆弱してきます」(泌尿器科医・平本有希子先生)
普段の生活の中で、「尿漏れはあるけれど、まぁ少しだから」と、何も手を打たなければ、女性ホルモンの減少によりさらに骨盤底筋群は衰えていき、閉経後にはもっと尿漏れが深刻になってしまいます。更年期前から骨盤底筋群のトレーニングを習慣化しておきましょう。
そもそも自分が閉経を迎えたかどうかは、閉経になった時点でわかるものではありません。生理が止まってから1年間来なかった時点で初めて「1年前が閉経でした」と判断されます。
女性ホルモンの分泌量が不安定になる閉経前のゆらぎ期には、生理が乱れて周期が長くなったり、また極端に短くなったり、量も不安定になるといった経験をする人もいます。
急な生理の乱れに、何かほかの病気の可能性があるのではと心配してしまうかもしれません。どういった出血の場合、注意したほうがいいのでしょうか?
「まず、その出血が自分にとってのルーティーンであるかどうかがひとつの判断基準になります。月経が順調な人の場合、基礎体温をつけていればその出血が月経なのか、不正出血なのかがわかりやすいです。月経以外にも、月経と月経の間に起こる『排卵出血』や、月経の前後にある『おしるし』のような出血がある方もいらっしゃいます。いずれにしても、パターン化している出血ならばあまり心配はいりません」(産婦人科医・吉形玲美先生)
生理の乱れに慌てないためにも、日頃から自分の生理周期や傾向などを知っておくことが大切です。
お股まわりのフェムゾーンの不快感、尿もれ、セックスのときの痛み。
一見まったく違う症状に見えるこれらの悩みは、閉経後に女性ホルモンが低下することによって進行するGSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)という病気の症状なのです。現在、50代以上の女性の2人に1人がこのGSMの症状に悩んでいるといわれています。
「日本はセックスレス文化なので、閉経後に腟を使うことはないと考えている人も多いかもしれませんが、人間の身体は使わない臓器は衰えていくようにできています。
寿命が延び、閉経後の人生の時間もたっぷりとある今、フェムゾーンを何もせず放置してしまうとさまざまな不調や病気につながる可能性があります。フェムゾーンのコンディションは生活の質を左右する重要なファクターです。
尿漏れがたびたび起こると自由な外出がしにくくなりますし、骨盤底が衰えると子宮や膀胱などの臓器が支えられなくなり腟から外に飛び出してしまう『骨盤臓器脱』につながります。不快感を感じたら放置せず、早めの対処が必要です」(泌尿器科医・関口由紀先生)
予防としては、フェムゾーンの保湿と骨盤底筋群のトレーニングが有効。病気を未然に防ぐために、今から習慣化しておきましょう。
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