サラリーマンこそ活用したい医療費控除


2024年提出分の確定申告は2月16日〜3月15日。確定申告は基本的に自営業やフリーランスの方が行うものですが、会社員にも関係してくるのが医療費控除です。

医療費控除とは、1月1日から12月31日までの間に一定額を超える医療費を支払った場合、所得控除を受けられる制度のこと。一定額とは、一般的なサラリーマンの場合は10万円で、高額療養費制度によって払い戻された分、生命保険から受け取った給付金などはマイナスし、純粋に自分が負担した分のみが対象となります。

ただし、総所得金額等が200万円未満(年収がおおむね311万6000円未満)の方は、10万円以上支払っていなくても構いません。総所得金額等の5%を超える部分が所得控除になり、年金世帯の多くはこちらが基準になります。たとえば、年金収入が190万円の夫婦が年間11万円の医療費を使った場合、確定申告することで1万500円がお得になるのです。

生計が一緒であれば、単身赴任中の夫や仕送りをしている別居中の大学生の子どもなど、家族分は合算して申請できます。また、家族で一番所得の高い人が申請すると、より還付金が増えてお得度が増します。

 

介護費用も一部が控除の対象に


医療費控除については多くの方が知っていると思いますが、実は介護にかかる費用の一部も控除の対象になっていることをご存知でしょうか。

自宅で生活をしながら受ける介護サービスを「居宅サービス」と呼びますが、居宅サービスにおける医療費控除の対象はこちらで、老人ホームなどの施設に入居しながら受ける「施設サービス」はこちらが医療費控除の対象になっています。

意外に思われるかもしれませんが、「特別養護老人ホーム」と「指定地域密着型介護老人福祉施設」では、介護費や食費、居住費のうち、2分の1相当が控除対象。さらに「介護老人保健施設」「指定介護療養型医療施設」「介護医療院」では、介護費、食費、居住費の全額が医療費控除の対象です。なお、どの施設においても、日常生活費、理美容代や特別なサービス費用は対象外となります。

基本的には、居宅サービスも施設サービスも、領収書に医療費控除の対象となる金額が記載されています。医療費控除の対象かどうかは、領収書を確認してみてください。

なお、高額介護サービス費として払い戻しを受けた場合は、その高額介護サービス費を医療費の金額から差し引いた上で、医療費控除の金額の計算をすることになります。


紙おむつは医療費控除対象?


相談者の加代子さんが疑問に思ったという紙おむつは、状況によって医療費控除の対象か否かが変わってきます。

居宅サービス等においておむつを使用した場合、医師などが発行するおむつ使用証明書がある場合に限り、医療費控除の対象となります。おむつ代の医療費控除を受けるのが2年目以降の場合は、市町村が主治医意見書の内容を確認した書類、または主治医意見書の写しがあれば医療費控除の対象となります。

セルフメディケーション税制とは

相談者の加代子さんがご友人に言われたというセルフメディケーション税制は、定期的に健康診断を受けている人に限り、市販薬の購入費用を所得控除できるというもの。対象医薬品を年間1万2000円以上購入した場合、上限8万8000円まで控除を受けられます。

たとえば、所得額400万円の人が対象医薬品を年間5万円購入した場合、所得税と個人住民税の両方合わせて1万1400円の減税効果があります(生計を共にする家族の分も合算可)。

医療費控除とは併用できませんが、こちらのサイトの計算式を使えば、どちらの方がお得なのかをすぐに調べることができます。

セルフメディケーション税制も医療費控除も、控除を受けるには確定申告が必要です。その際レシートや領収証の提出は不要ですが、それらを基に明細書を作成して提出するので、必ず保管しておくようにしてください。

また、どちらも5年前までであれば遡って申請することが可能です。知らなかった、やっていない、という方は、これを機に一度確認してみてはいかがでしょうか。


構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
イラスト/Sumi
編集/佐野倫子

 

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