小町がうちに来て3年後の2016年にそら吉という猫が亡くなり、黒猫のギョロと小町の2匹だけになってしまいました。夫が「さみしい」と言い出して、近所の友達のところで生まれた子猫を譲り受けることにしました。本当は1匹のつもりがどうしても選びきれず、夫が連れて帰ってきたのは2匹! これがヤク美とむふ子です。
むふ子は今でこそでっぷりとした猫なのですが、ものすごく臆病。柔らかい布団などの上に粗相してしまう悪癖があり、布団を何枚も、座椅子を何個も捨てるハメになりました。さらには誤食癖もあり、2020年のクリスマスイブに、異物を食べて苦しそうにしていたので開腹手術を受けたこともありました。でも、今では粗相もなくなり、安心して一緒の布団で寝ています。
いま4匹がひとつ屋根の下で暮らしています。小町はヤク美やギョロと仲良くありません。でも、むふ子は小町とぴったりくっついて寝るほどの仲良し。猫って、同じ部屋にいたとしても、くっついていない限り、実は仲が悪いという話を聞いたことがあります。だから、うちの子たちは全員仲良しというわけではありません。でも適度な距離感で共存しています。
私たち夫婦は60代後半なので、4匹の猫たちを見送るまで飼い主としての責任を果たさなければなりません。でも、私たちが先に死ぬ可能性もゼロではありません。今まで、ペットロスに陥っても、新たに猫を迎え入れることで乗り越えてきました。また、常に多頭の猫たちを飼っているので、もし1匹を見送っても、他の猫たちのおかげで、悲しみや苦しみを分散させることができました。これは多頭飼いのいいところです。
今年で20歳になるギョロは大きな病気をしていないものの、かなりの高齢猫です。最近の猫は20歳まで生きるのは珍しくありませんから、小町は10年後、ヤク美とむふ子は13年後に20歳になるはず。その頃には、私も80歳近くになっています。
きっと、その年になっても、猫たちとの別れは辛いし悲しいでしょう。でも、私も老い先短くなっているわけですから、その頃にはきっと、新しい猫を迎え入れなくても、達観の境地に達しているのではないでしょうか。
むしろ、ようやく私も歴代猫たちのところに行けるようになる! と思えるようになっているかもしれない。そうやって、猫と自分の老いを受け入れていくのではないかと思うのです。
イラスト/Shutterstock
文・編集/吉川明子
前回記事「老猫と若者猫2匹の穏やかな日常【シニア猫のお話】」>>
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