『12日の殺人』
フランスの山間の小さな町である夜、ガソリンをかけられて生きたまま焼き殺された21歳の女性クララ。捜査を担当する新任の殺人捜査課班長ヨアンは、親友の証言から彼女の男性関係を当たることに……。
捜査線上には彼女が関係した男たちーー彼女が恋人だと公言していたバイト先の同僚、「セフレ」だったジムの知人、嫉妬深い元恋人のラッパー、そして女性に対する暴力の前科を持つSNSで知り合った男ーーは「彼女が性的に奔放だった」と口を揃えます。
なにかしら犯罪の被害にあった女性が、その性的なあり方と結び付けられて語られ、「殺されてもしょうがない」「バチが当たった」と思われることは、それ自体が侮辱的であり差別的なこと。自分は決して女性差別的な人間ではないと自認してきたヨアンは、自分も含めた男性ばかりの捜査チームの中にそうした偏見があることに気づき、いらだちと罪悪感をつのらせます。
映画冒頭で事件は未解決であることが示され、ラスト近くにでてくる「彼女を殺した犯人はすべての男性」という言葉も重く響きます。
作品情報)
『12日の殺人』
2024年3月15日(金)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
監督:ドミニク・モル
脚本:ドミニク・モル /ジル・マルシャン
原案:ポーリーヌ・ゲナ作「18.3. Une année passée à la PJ」
2022 /フランス /原題:La Nuit du 12 /114分 /ビスタ /カラー /5.1 /字幕翻訳:宮坂愛
配給:STAR CHANNEL MOVIES
公式X:@STAR_CH_MOVIES
© 2022 - Haut et Court - Versus Production - Auvergne-Rhône-Alpes Cinéma
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