—— 御社ではいちはやく、短時間勤務の延長が認められたのですね。でも、そのような制度がいまだ整っていない会社や団体は多いかと思われます。
次第に「親の会」には、ほかの会社で働くメンバーも増えてきました。その中には、勤務する会社のあらゆる両立支援制度を使い果たして失業の危機に直面し、人事部や労務部と交渉を続けている方もいらっしゃいました。
しかし、「今の法律にないものは、会社の制度に反映できないと言われてしまいました」「工藤さん、だめでした」という声が多く聞かれたのです。
企業ごとにドアを叩いてお願いしても、間に合わない、私だけ救われても報われない。そして、私たちのような親の死後、娘のような子たちの笑顔をどうやったら守れるだろうかと思うようになっていきました。
より多くの方に、私たちの置かれている状況を知ってもらわなければ。会社を変えるだけではなく、法律を変えなければ。
そういった思いから、少しずつ「親の会」の活動を広げていきました。
—— このミモレの連載もその1つですね。そしてついに念願叶って今年の5月に「改正育児・介護休業法」が成立したのですね。
はい。この「改正育児・介護休業法」では、働き手の「個別の意向確認と配慮」が義務化されました。
企業は今後、厚生労働省が定める省令や指針に基づき、障がい児や医療的ケア児を育てながら働く親やシングル家庭に対し、個別の意向を踏まえて自社の状況に応じつつ、短時間勤務や看護休暇などを制度の上限を超えて利用できるようにするといった対応が求められます。
改正法は来秋までに施行されますので、障がい児、医療的ケア児を育てながら働いている方は、ぜひこの制度を知って使っていただきたいです。それは、私たちだけではなく、後に続くひとたちのためにもなると思います。
★第3回オンラインセミナーアーカイブ視聴のご案内★
「障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会」は、連続セミナーの最終回「多様性を認め合う風通しのよい社会を目指して」を2023年3月9日に開催しました。お話を伺ったのは、衆議院議員であり、障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会顧問の野田聖子さん、障がい児や疾患児の両立支援制度の拡充を4月から実施するJR東日本会長の冨田哲郎さん、障がい児を育てる家族への支援を今年の春闘方針に盛り込んだ電機連合中央執行委員長の神保政史さん。政労使の分野の最前線に立っていらっしゃる当事者や支援者ならではの深い視点に基づくお話をぜひご視聴ください。
第3回 障がい児・医療的ケア児の親と就労「多様性を認め合う風通しのよい社会をめざして」
★「障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会」は、朝日新聞厚生文化事業団の共催で連続セミナーを開催しています。過去のセミナーはこちらからご視聴いただけます。
第1回 障がい児・医療的ケア児の親と就労「障がい児を育てながら働く 綱渡りの毎日」
第2回 障がい児・医療的ケア児の親と就労「取り残される障がい児・医療的ケア児の親たち」
★「障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会」へ参加ご希望の方はこちらからお申し込みください。
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構成・文/工藤さほ
編集/立原由華里
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