こんにちは。編集・川端です。今日は編集長コラムにおじゃまして、最近の“今やってます〜”をお話しします。私はミモレの中で、美容・ファッション・本やマンガ紹介、システム、マネタイズなどを担当しています。って、なんでもやん?と思った貴方、そうなんです。なんでもやん、バタやん。私だけじゃくてみんなそう……小さい編集部なので全員なんでもやんです。
中でも、個人的に一番好きな担当は、インタビュー記事を作ることです。この2、3ヶ月の間に20人以上の作家さん、女優さんなどをインタビューさせていただきました。インタビューが増えたなと感じていた方もいらっしゃるかもしれませんね。今日は、そんなミモレインタビューについて、私の思い出と思い入れをこの場を借りてお話しさせて頂きますね。
『「やっと“負け犬”の効果が出てきた」酒井順子、平成30年を振り返る』はこちら>>
営業からwith編集部へ異動になり、初めて担当した連載が、作家さんのインタビュー1ページだったんです。書評連載をやりたいと言ったら、当時の編集長が「自分で原稿書くならやっていい」と言ってくれたんですね。今考えるとかなりムチャブリですけど、当初は「好きな作家さんに毎月会い放題、わ〜い!」と無邪気に思っていました。
ところがこれがすごく辛くて……。
酒井順子さんとか、ポツポツとしかお話しにならないんです。用意してきた質問リストはあっという間に尽きてしまい……。沈黙に脇汗。
ミモレで連載「ガラスの50代」を担当するようになって、エッセイではあんなに饒舌なのに……とそのエピソードをご本人にも告白したのですが。酒井さん側は、「自分が若い編集者に緊張を強いる年齢になったことにショックを受けた」とおっしゃっていました。(当時、私は27歳、酒井さんは40歳くらいだったんですねえ)。今は私が40歳。よくわかります。
その後、何人もの作家さんへ話が弾まないインタビューをしてしまい、とうとう編集長に「私、向いてないです」と泣きつきました。そしたら「話し上手かは関係ない。盛り上がる必要もない。原稿がいいか悪いかだけ」と突っ返されました。
原稿の起承転結の結を“落としどころ”と呼びますが、上手いこと“落としどころ”へ持って行けたと思うってことは、自分の結論を押し付けて、相手に代弁させている。だから上手くやろう、上手いこと書こうと思うなとたしなめられたのです。「しゃべり上手に良いインタビュアーはいない」と言われたのは最大級の励ましだったと今になって思います。
その教訓は、ミモレでインタビューをするときもずっと心の片隅にあります。今は、プロのライターさんがインタビューをしてくださることがほとんどですが、タイトルや見出し、写真選びに、私の思う「この人にこういうことを言って欲しい」という気持ちは少なからず反映されてしまいます。フルフラットにはできないけれど、自分の中の結論や価値観を、誘導尋問のように押し付けてしまっていないか、上手いインタビュー記事を狙いすぎてないか、すごく気にします。
ミモレの読者の方は大人ですし、様々な経験を積んでいらっしゃるから、Aの答えはBですという解を“落としどころ”にするのではなくて、答えはないけど、こういう考えもあるんだなあ、とか、私もそう思ってたよ、と感じるところがあったならいいなあと思っています。自分とは違うなとか、この人あんまり好きじゃないとか、久しぶりに見たけど素敵だなあとか、老けたなあとか、なんでもいいです……。ご自身の考え方や好き嫌い、大切にしていることを再認識してもらえる機会になったらと思っています。
最近担当したインタビューは下記に。どれか一つでも印象に残っているものがあれば嬉しいです。来月は、新木優子さん、瀧波ユカリさん、松岡茉優さん、坂井真紀さん、中山美穂さん、柴咲コウさんらのインタビューがアップ予定です。もちろん、私以外もインタビューを企画担当しているので続々アップされますよ〜。この人の話を読みたいというリクエストもぜひお寄せください。がむばります!
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